母「あなた、あなた、」
お母さんの声がして、
わたしは目を覚ました。
あなた「ん、、 え、なんでおるん、?」
母「この前日曜日仕事出たから今日休み。で、時間大丈夫なん?」
あなた「え、何時、?」
母「12時」
あなた「は、?」
頭が真っ白になった。
飛び起きて、
トイレ行って顔洗って歯磨きして、
前髪濡らしててきとうに乾かして、
寝癖直ってるんかよくわからんけど、
着替えて、
荷物持って家を飛び出た。
12時20分、
駅まで走って5分ちょっと、、
なんばまで、何分、?
考えてもしょうがないか、
とりあえず走らな。
死ぬ気で走って、
電車乗って、
めちゃくちゃ息切れてて、
ぜんぜん呼吸できへんし。
しんど、寝坊なんて、いつぶり、?
少し呼吸が整ってきて、
スマホを開くと、大量の通知。
ひたすら文送ってたり、
電話何回もかけてたり、
スタ連も、
申し訳ない…
とりあえずじーこに、
寝坊しました、本当にすみません。
今向かってます。
って、
LINEしたら、すぐ既読ついて、
よかった
大丈夫?
体調悪いん?
って。
心配してくれてる。
ほんま申し訳ない…
大丈夫やでって、返したら、
焦らんと、気をつけて来るんやでって。
優しすぎやろ。
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なんばについて、
わたしは階段を一気に駆け上がった。
人混みをかき分けながら、
必死に走った。
あなた「あっ、」
誰かの足に引っかかり、
わたしは転んでしまった。
なんとか立ち上がり、
松竹の近くまで来ると、
スタッフさんがいてくれてて、
「あなたちゃん、大丈夫?」
そう、声をかけられた瞬間涙が溢れた。
あなた「っ… ごめん、なさい、ッ…ほんまに…グズッ」
「大丈夫やからね。ほら、いこ?」
スタッフさんは、
息が上がったわたしの背中を優しくなでながら、
楽屋まで誘導してくださった。
康「あなたっ!大丈夫?」
あなた「グズッ、ごめん…ごめんなさいっ、グズッ」
流「あなたっ!よかった…」
大「あなた、手、どうしたん、?」
あなた「え、?」
転んだ時に擦りむいたのか、
手には血が滲んでいた。
あなた「さっき、グズッ、ころんで、、グズッ、」
康「わー、、痛そうやな… 」
あなた「洗ってくる…」
流「一緒に行く。」
手を流して、
流星に絆創膏貼ってもらって、
気づけば本番5分前。
流「あなた、髪、急ぐで!!」
あなた「えっ、間に合う、?」
流「前髪やって、結ぶくらいなら。アイロンさっきつけといてん。」
あなた「ありがと…」
流星は、
手早く髪の毛をセットしてくれて、
最後に、ちょっとアイシャドウまぶたにのっけて、
グロスも塗ってくれた。
流「できた!!間に合った!笑」
康「あなた、流星!あと1分!」
流「行くで!!」
あなた「うんっ、…」
間に合った…
よかった、
ほんまに。
あなた「ありがとうね、ほんまに、」
そう言うと、
流星は、
少し顔を赤くして、小さく頷いた。
流「頑張ろな…」
あなた「うん。」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。