第89話

episode88
1,759
2020/11/09 13:48

母「あなた、あなた、」


お母さんの声がして、

わたしは目を覚ました。





あなた「ん、、 え、なんでおるん、?」
母「この前日曜日仕事出たから今日休み。で、時間大丈夫なん?」
あなた「え、何時、?」
母「12時」
あなた「は、?」


頭が真っ白になった。


飛び起きて、

トイレ行って顔洗って歯磨きして、


前髪濡らしててきとうに乾かして、



寝癖直ってるんかよくわからんけど、

着替えて、

荷物持って家を飛び出た。




12時20分、

駅まで走って5分ちょっと、、



なんばまで、何分、?





考えてもしょうがないか、


とりあえず走らな。








死ぬ気で走って、

電車乗って、



めちゃくちゃ息切れてて、

ぜんぜん呼吸できへんし。




しんど、寝坊なんて、いつぶり、?






少し呼吸が整ってきて、

スマホを開くと、大量の通知。





ひたすら文送ってたり、

電話何回もかけてたり、

スタ連も、





申し訳ない…



とりあえずじーこに、


寝坊しました、本当にすみません。
今向かってます。



って、

LINEしたら、すぐ既読ついて、




よかった

大丈夫?

体調悪いん?


って。


心配してくれてる。

ほんま申し訳ない…





大丈夫やでって、返したら、


焦らんと、気をつけて来るんやでって。



優しすぎやろ。






______________________________________________


なんばについて、

わたしは階段を一気に駆け上がった。





人混みをかき分けながら、

必死に走った。







あなた「あっ、」


誰かの足に引っかかり、

わたしは転んでしまった。

なんとか立ち上がり、

松竹の近くまで来ると、



スタッフさんがいてくれてて、





「あなたちゃん、大丈夫?」



そう、声をかけられた瞬間涙が溢れた。
あなた「っ… ごめん、なさい、ッ…ほんまに…グズッ」
「大丈夫やからね。ほら、いこ?」

スタッフさんは、

息が上がったわたしの背中を優しくなでながら、

楽屋まで誘導してくださった。








康「あなたっ!大丈夫?」
あなた「グズッ、ごめん…ごめんなさいっ、グズッ」
流「あなたっ!よかった…」
大「あなた、手、どうしたん、?」
あなた「え、?」


転んだ時に擦りむいたのか、

手には血が滲んでいた。






あなた「さっき、グズッ、ころんで、、グズッ、」
康「わー、、痛そうやな… 」
あなた「洗ってくる…」
流「一緒に行く。」



手を流して、

流星に絆創膏貼ってもらって、



気づけば本番5分前。







流「あなた、髪、急ぐで!!」
あなた「えっ、間に合う、?」
流「前髪やって、結ぶくらいなら。アイロンさっきつけといてん。」
あなた「ありがと…」



流星は、

手早く髪の毛をセットしてくれて、


最後に、ちょっとアイシャドウまぶたにのっけて、

グロスも塗ってくれた。






流「できた!!間に合った!笑」
康「あなた、流星!あと1分!」
流「行くで!!」
あなた「うんっ、…」


間に合った…



よかった、

ほんまに。





あなた「ありがとうね、ほんまに、」



そう言うと、

流星は、


少し顔を赤くして、小さく頷いた。




流「頑張ろな…」

あなた「うん。」



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