2012年
5月のことだった。
" Don’t ever give it up !
君のため 僕がいる
世界をひとつにするんだろう
Dreams come true
つなごう 強いチカラで "
適当にリモコンを触っていたら
たまたまついたのが、
ザ少年倶楽部。
一瞬で心を射抜かれた。
胸が高鳴るのがわかった。
どきどきした。居ても立っても居られなかった。
あなた「ままっ!!これっ!何!?」
母「ん?あー、SexyZone? ジャニーズだよ。」
あなた「ジャニーズ…」
キラキラな衣装を身にまとい、
キラキラな笑顔で歌って踊るジャニーズに
わたしはあっというまに夢中になった。
あなた「まま!あなた、ジャニーズになりたい!」
母「うーん、、ジャニーズな、男の子だけやから無理やな、、笑」
あなた「そんなん知らん!あなたはジャニーズになんねん!」
その日からわたしは、
少クラを見てJr.がやっていることを
真似するようになった。
わたしにとってジャニーズは" 憧れ "
ちょっとでも、近づきたかった。
歌も、ダンスも、アクロバットも。
全部全部独学で
たくさん練習した。
そして。
チャンスは突然訪れた。
7月14日
わたしは、出先で母とはぐれてしまった。
ふらふらと適当に歩いていたときだった。
前から、
あの有名な口調で話している人が歩いてきた。
あなた「…ジャニーさん?」
気づいたときには、
わたしはその人の目の前にいた。
あなた「あのっ!! ジャニーさんですよね。わたしっ…どうしても、どうしてもジャニーズに入りたいんです!!男子だけってわかってても諦められなくて。いろいろ、頑張ったんです。何だってできます!だからっ!!」
わたしは必死に訴えかけた。
そして、
少しの沈黙のあと
ジャニーさんは口を開いた。
ジャ「you、おもしろいね。今からオーディションなんだ。参加してみるといい。」
そして
このオーディションに受かり
わたしは
ジャニーズ事務所に入所した。
…何で受かったんかはほんまに謎。
ただ、
あれやろうね。
" ジャニーさんの気まぐれ "
ってやつやろ?
あの日から、
どれだけの気まぐれに振り回されて、
どれだけ苦しい思いをしたことか。
気まぐれなんかで、
人の心ぐちゃぐちゃにせんといてって思うけど
嫌なら辞めてもいいし、
よっぽどお気に入りじゃないと
辞めないでって、止められもしない世界。
そんな世界で
どれだけ苦しくても、
辞めへんかったのは、自分の選択。
佑「あなた!出番やで!!」
あなた「あ、うんっ」
今日もわたしは踊る。
白く光るスポットライトを
再び浴びるために。
もう一度、
ハンドマイクを持って歌うために。
そして、
どれだけ目立たなくなっても、
応援し続けてくださる、ファンの皆さんの為に。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。