第109話

episode108
1,776
2020/12/25 14:41

流星に、

ついに伝えてしまった。





ただ、わたしを見つめ、涙を流す彼の姿に、


胸がぎゅっと締め付けられる。








あなた「だから、今日で、最後やねん。関西ジュニアとしては。」
流「っ…」
あなた「もっとはやく、流星には伝えたかったんだけど、…気持ち、整理つかんくてさ。ごめんな、ギリギリで。」
流「…なんで、グズッ」


なんで行っちゃうん、





小さな声で、流星はそう言った。


あなた「悔しかった。バラバラになって、横に、並べなくなって。去年の春に誘われてん、HiHi Jetsに入らないかって。でも、その時はもう居場所もできて。それにまだ諦め切れてなくて。また一緒にできるかもって。そんな気持ちじゃ、HiHi Jetsにも、申し訳ないし、断った。…でも、ドリボやって、居場所ってここなんかなって思って。わたしにも、必要としてくれる人がおるって、それがほんとに幸せで。」
流「関西ジュニアにだって、必要やん、」
あなた「そうかな、…あとね、これだけやないよ、理由。」
流「え?」
あなた「ドリボ期間に、なにわ男子のこと聞いて、正直ショックやった。なんか頭真っ白になって。…その日に、HiHi Jetsの5人が、来ない?って言ってくれて、関西でグループできて、入れんかったから行くみたいで、いややろって聞いたら、それでも一緒にやりたいって。…うれしくて。」
流「…うん、」
あなた「じーこもね、すごい後押ししてくれて。…わたし、キンプリデビューして、すごい人気で、そしたらなにわ男子できて、正直焦ってる。だから、なんで言ったらいいんかな、…とにかく、自分もちゃんと前に進みたくて。チャンスを、今回はしっかり掴みたいって思って、なかなか勇気出なかったけど、チャンス、掴みに行くことにした。」


流星は、


しばらくの沈黙のあと、

ようやく口を開いた。




流「ありがとう、話してくれて。」
あなた「うん。」
流「ずっと、話せんくて辛かったやんな。」
あなた「え?」
流「なんとなくわかってたからさ。なのに、…ドリボ行ったとき、悔しくなっちゃって。HiHiと、並んで舞台立って、キラキラしてるん。あなたの横におるのは、俺やったのにって、」


そんなこと、

思ってくれてたんだ。







流「なんか、取られるって、思っちゃって。楽屋行ったとき、早よ一緒にコンサートしたいとか、その後も、なんか自分めっちゃ重いやんって。ごめんほんまに。」
あなた「重くないよ、わからんけど。…まあ、わたしも流星に対しては重いよきっと、笑」
流「そうかな、笑」
あなた「うん、笑…あのね、わたし、まだなにわ男子のこと、しっかり見れない。」
流「うん、」
あなた「キラキラで、なんか、羨ましくて、悔しくて。…なんであそこにいれないんだろうって、なんで流星の横にいれなくなったんだろって」
流「お互い様、ってことやな。」
あなた「そうやね、笑 …流星、」
流「ん?」
あなた「やっぱ離れたくないな、」

気付いたら、

そんな言葉を発していた。





あなた「ごめん、なんm 流「あなた、あのさ、」


流星は、

真っ直ぐな瞳でわたしを見つめた。


流「俺、ずっと、」




ガチャッ、






流星が何かを言おうとしたとき、


扉が開いた。






大「大丈夫?様子見てきてって言われて、」
あなた「あ、ごめんな、大丈夫。」
大「よかった。まあ無理せんようにな。戻る?」
あなた「うん、戻るわ。行こ、流星。」
流「あ、うん…」


あ、流星、

さっきなんか言おうとしてたやんな、



まあ、後で聞けばいっか。



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