第95話

episode94
1,796
2020/11/09 14:01



最後の松竹座は、


本当に呆気なく終わった。






涙も出なかった。



また、みんなとこうやって、

立てるんじゃないかって、



そうじゃない道を、

自分から選んだのに。




なんだか、

どっと疲れてしまって。

康「あなた、お疲れ様。大丈夫?」


じーこの声に、

わたしは顔を上げた。


康「楽屋戻ろか。」
あなた「…、だめだ、」
康「ん?」
あなた「なんか、…もう、っ、…なんやろ、わからへんけど、…ごめん、意味わからんよね、」
康「不安?」
あなた「…信じられんくて。最後なんて思えへん、」
康「そうやなぁ… いっぱい立ってきたもんな。」
あなた「なんか、…寂しいとか、不安とか、…なんなんかわからんけど、…ちょっと、っ、」
康「大丈夫大丈夫。頑張ったな。ほんまに。」



そう言って、


わたしのことを、

じーこは優しく抱きしめてくれた。






急に、

大量の涙が出てきて、





あなた「っ、グズッ、…うぅ、っ、ヒック、」
康「…ほんま、信じられへんよな、」
あなた「信じたくない、のかな、グズッ、…おかしいやんな、決めたのは、自分やのに、」
康「しゃあないよ。ずっとここに立ってきたんやもん。…座ろか。」




私たちは、


舞台袖の、

小さな段差のところに座った。


あなた「…じーこは、わたしよりもいっぱい立ってるんやもんな、」
康「そやなぁ」
あなた「わたし、東京行くこと多かったし、結局、行くやん?でもさ、」
康「うん、」
あなた「でも、関西で、ここで、ジャニーズになれたことが、すっごく嬉しいっていうか、誇らしいねん。」
康「…うん、」
あなた「じーこ、?…え、何泣いてるん!?」


じーこは、

目頭を押さえたまま、下を向いていた。




康「いやぁ、…あなた、ほんま頑張ったよな。」
あなた「そんなことないよ、笑」
康「ううん。すごいよ。急に年上の先輩の中に突っ込まれて。しかも女子やし、あなたは。いろいろ言われたしいろいろあったのに。ほんまによく頑張ったよ。」
あなた「…ありがとう。」
康「あの子ら、ほんまいい子たちよ。」
あなた「ん、?HiHi Jets…?」
康「うん。あなたが寝てる間、いろいろ話してん。…なにわ男子のこと話したとき、あなたのこと、めちゃくちゃ心配しとった。HiHi Jetsに入って欲しいって言うんも、ずっと悩んでた。だから、俺が言った。あなたのこと誘ったってって。」
あなた「え…?」
康「ここなら大丈夫やって、思ったから。」


そんなに、

私のことかんがえてくれてたん?




あなた「… 5人な、ほんま優しくて、あったかくて。なんやろ、…好きやねん、とにかく。だから、よかった。ほんまにありがとう。いくらジャニーさんに言われてるからって、5人がああやって話してくれんかったらわたし多分進めんかった。」
康「よかった。ほんま。」
あなた「ありがとう。わたし、頑張る。」
康「頑張ろな。…戻ろか。」
あなた「やね。」



私たちは立ち上がった。




康「次はあけおめやで〜」
あなた「もう、はっちゃけますあけおめ。」
康「後悔せんようにしような。」
あなた「やね!」


がんばろう。

最後は、

笑顔で終われたらいいな。












下書き消化完了😂

連日にわたる大量更新失礼いたしました、、

そろそろクライマックスです。

更新は遅くなるかもだけど、


最後までよろしくお願いします!
               
                楓菜

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