最後の松竹座は、
本当に呆気なく終わった。
涙も出なかった。
また、みんなとこうやって、
立てるんじゃないかって、
そうじゃない道を、
自分から選んだのに。
なんだか、
どっと疲れてしまって。
康「あなた、お疲れ様。大丈夫?」
じーこの声に、
わたしは顔を上げた。
康「楽屋戻ろか。」
あなた「…、だめだ、」
康「ん?」
あなた「なんか、…もう、っ、…なんやろ、わからへんけど、…ごめん、意味わからんよね、」
康「不安?」
あなた「…信じられんくて。最後なんて思えへん、」
康「そうやなぁ… いっぱい立ってきたもんな。」
あなた「なんか、…寂しいとか、不安とか、…なんなんかわからんけど、…ちょっと、っ、」
康「大丈夫大丈夫。頑張ったな。ほんまに。」
そう言って、
わたしのことを、
じーこは優しく抱きしめてくれた。
急に、
大量の涙が出てきて、
あなた「っ、グズッ、…うぅ、っ、ヒック、」
康「…ほんま、信じられへんよな、」
あなた「信じたくない、のかな、グズッ、…おかしいやんな、決めたのは、自分やのに、」
康「しゃあないよ。ずっとここに立ってきたんやもん。…座ろか。」
私たちは、
舞台袖の、
小さな段差のところに座った。
あなた「…じーこは、わたしよりもいっぱい立ってるんやもんな、」
康「そやなぁ」
あなた「わたし、東京行くこと多かったし、結局、行くやん?でもさ、」
康「うん、」
あなた「でも、関西で、ここで、ジャニーズになれたことが、すっごく嬉しいっていうか、誇らしいねん。」
康「…うん、」
あなた「じーこ、?…え、何泣いてるん!?」
じーこは、
目頭を押さえたまま、下を向いていた。
康「いやぁ、…あなた、ほんま頑張ったよな。」
あなた「そんなことないよ、笑」
康「ううん。すごいよ。急に年上の先輩の中に突っ込まれて。しかも女子やし、あなたは。いろいろ言われたしいろいろあったのに。ほんまによく頑張ったよ。」
あなた「…ありがとう。」
康「あの子ら、ほんまいい子たちよ。」
あなた「ん、?HiHi Jets…?」
康「うん。あなたが寝てる間、いろいろ話してん。…なにわ男子のこと話したとき、あなたのこと、めちゃくちゃ心配しとった。HiHi Jetsに入って欲しいって言うんも、ずっと悩んでた。だから、俺が言った。あなたのこと誘ったってって。」
あなた「え…?」
康「ここなら大丈夫やって、思ったから。」
そんなに、
私のことかんがえてくれてたん?
あなた「… 5人な、ほんま優しくて、あったかくて。なんやろ、…好きやねん、とにかく。だから、よかった。ほんまにありがとう。いくらジャニーさんに言われてるからって、5人がああやって話してくれんかったらわたし多分進めんかった。」
康「よかった。ほんま。」
あなた「ありがとう。わたし、頑張る。」
康「頑張ろな。…戻ろか。」
あなた「やね。」
私たちは立ち上がった。
康「次はあけおめやで〜」
あなた「もう、はっちゃけますあけおめ。」
康「後悔せんようにしような。」
あなた「やね!」
がんばろう。
最後は、
笑顔で終われたらいいな。
下書き消化完了😂
連日にわたる大量更新失礼いたしました、、
そろそろクライマックスです。
更新は遅くなるかもだけど、
最後までよろしくお願いします!
楓菜
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。