第5話

仲直り?
92
2022/10/25 02:46





いきなり牛肉盛り盛りのお弁当3個買って、


「ほらっ、帰るよっ?」


って、オマエ、何なんだよ?


寿司は?

実家は?


こっちは、一緒にメシ食って、可愛いカッコイイ、大好きなオマエの顔見ながら、もうふた晩、独りになんの、覚悟しようって思ったのにさ。


「何、してんの?
早く来てよ?」


って。


オマエも金髪を隠すように帽子かぶって、喉のためにマスクもしてるから、顔のほとんどが隠れちゃってる。
それでも、優しい目元で、笑ってるのがハッキリわかるから、オレも笑顔になっちまう。






うちに着いて、玄関の扉を閉めた途端、ぎゅーって抱きしめられる。

オレも抱きしめ返す。
オマエの喉元に顔を付けて、オマエの柔らかな甘い匂いを嗅ぐ。
そして。
オレの肺の中がオマエの匂いでいっぱいになった頃。

オマエの固い欲望が、オレのおなかに当たってるのに気付いて、体の奥がズクンとうずく。
うずきは熱になって体の真ん中に集まってくる。



オマエの手がオレのアゴをつかむから、キスするのかって思ったのに、オマエはオレを優しく見つめるだけ。

いつまで待っても降りて来ない唇に焦れて、オレは自分からオマエにキスをする。

2、3度唇を合わせたら、アッという間にキスが深くなる。

好きだ、って気持ちがふくれ上がって、もっともっともっと……!



なのにオマエは冷静で。

うっとりと夢中になってたのに、あっさり唇を離すと、腕をほどいて、靴を脱ぎ、


「ほら、手ー、洗って?」


だって。

あんな固くしてテント張ってんのに、良くガマンしてられるよ。
オレ、そっちのが感心すっわ。


もー、押し倒すか?








「おなか空いてんでしょ?
どれ、食べる?」


「オマエ」


「だーめ。
少しでも食べないとあげないよ?
だって俺はデザートだもん(笑)」


「(笑)なんだそれ。
そんな甘くねーわ。
むしろ苦ぇわ」


「ちょっ、とー。
リアルやめてよー」


オマエが赤くなるから、オレは笑う。

しょーがねーな、弁当食ってやるよ。







食べながら、話題は自然と昨日のショーのことになる。


「あんな真面目くさった顔で、カッコ付けて歩ってんの、あんま見たことなかったけどぉ。
ふたりともすっげ良かったよ。
どうせならトップで、もう少しなんかさ。
アピールできたんじゃね?」


「(びっくり)見たの?」


「見たよ。
見たに決まってんだろ、何驚いてんだよ」


「見てないのかと」


「なんでだよ」


「だっ、て。
そのことに全然触れなかったから」


オレは口の中の食べ物をごっくんと飲み込み、手元のペットボトルに手を伸ばした。

どうしよう。
言ってやるべき?

オマエを見ると微笑んでオレを見つめてた。


「俺、頑張ったからさー。
あなたに見て欲しかったからさ、見てないのか、って思ってがっかりしてたんだよ?」


「!」


コイツ、なんでこんなこと、サラッと言えんだろ?
恥ずかしくないのかな?


「がっかりし過ぎてさ、もう実家帰ろうって」


大きな手が伸びてきて、オレの頭や顔を撫でた。
優しい触りかたにウットリする。
つられてつい、


「嫉妬したんだ。
言えっかよ、んなこと」


マズイ。
言ったそばから、顔が熱くなった。
恥ずかしくてオマエの顔が見れねーのに、オマエの指がオレの唇に触り出す。
指は唇を撫でるだけでなく、口の中にまで入ってきた。
噛み付いてやろうと思ったのに。


気が付くとオレは、唇も舌も、息さえ、激しくオマエに吸われてた。

頭がぼうっとなる。


「ベッド行こ」


切迫した低い声にくらくらする。
それはもうお願いじゃなくて命令だ。


たまにしか見ない、リミッター外れたオマエ。


ああ、嬉しいなぁ。
わくわくする。








だけど。

オレから服を剥ぎ取る間もゆっくりで、荒々しいとこはひとつもない。


体に落とされるキスも丁寧で優しくて。


あれ?
リミッター外れてない?


「脚、開かなくていいから膝そろえて?」


オレの股間にローションを垂らして、両足をまとめて左肩に乗せると、後ろから脚の間に分身を擦り付け始めた。


何なんだよ、スマタかよ!


期待がおっきかった分、ガッカリし過ぎてハラが立ってきた。

オマエの分身が、ヌルヌルとオレのを擦るし、ぬめる手で刺激してくるから、ダイレクトな快感が走る。
でも今オレが欲しいのは、弾ける感覚じゃないんだもん。

このままじゃ、オマエが出しちまう。
そしたら終わっちゃう。


「待てよ、挿れてよ」


「だ、めだ、よ」


息荒くして、そんな色っぽい顔して拒否んな!


「欲しいんだ、ってば」


「昨日おなか、壊してた、でしょ?
しばらく休ま、せな、んっ」


コイツ、全然リミッター外れてねー。
行為の最中でさえ、オレの体の心配かよ!

こうなりゃ目一杯煽ってやる!


「キラキラぁ、他の男に笑顔向けないでよ。
オレ、嫉妬で焦げそうだったんだぞ?
オマエは、オレだけのもんでいてよ」


「あなただけ、のもの、だよ?」


「ちゃんとわからせて?
オマエでいっぱいにしてッ!
じゃないと寂しくて泣いちゃう」


オレは、しがみつくように抱きついた。
背中をひっかいちゃった気がするけど、もう知らん。


「好きだ、キラキラ。
大好きなんだ。
オマエにメチャクチャにされたいよ」


こっちはもう、恥ずかしさなんか感じる余裕なし!


ここに来てようやく、脚が解放され、胸に噛み付くようなキスが落ちてきた。
同時にオマエの長い指がオレの後ろを探り出す。

これこれ。
これですよ。

オレは嬉しくてゾクゾクが止まらない。
















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