第14話

好きと必要 ⑧
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2023/04/19 06:24





苦労した甲斐あって、ライブがうまくいった。
ファンもスタッフも、みんな笑顔がこぼれてて、それ見たら嬉しくて泣けちゃった。


今回、オレ含めてメンバー全員にソロシーン入れたのも、喜んでもらえてた。



そんでオマエのソロ!
思ってた通りやっぱり良くて、背中ゾクゾクしちゃったな。
むせび泣くように声をふるわせて愛する人との別れを惜しむオマエ。
歌う時にオマエの頭ん中にいたのは、家族だったり……。

オレだったりしたかなぁ。


オレ、絶対オマエより先に逝きたいなぁ。








温かな体をくっつけて、オレはオマエの、乾いたさらさらの肌を撫でてた。
オレはオマエの長い手足にからみつくように体を密着して、甘いわななきの余韻にひたってた。






久しぶりに揃ってOFFだったから、みんなでカラオケ行ってゆっくり遊んだ。
美味しいゴハン食べて、ライブ映像見たりして。
カラオケではものまね大合戦になって、みんなで大笑い。

そんで解散してから。


もちろん家でもいいんだけど、お風呂にふたりでゆっくり入りたいし、声を気にしなくていいからって、オマエがホテルを取ってくれた。
次の日のことも気にせずゆっくり愛し合ったのは、いつぶりだろう。


オレの愛撫に、オマエがつらそうに眉を寄せて声を漏らすから、可愛くて嬉しくて、ずっと責めてみる。
オレ、今日はもうこのままオマエの中に挿入ろうかと思った。

興奮してガチガチになってたから、オレにだってできるもん。

乳首をしゃぶりながらオマエに分身を擦り付けて、タイミングを図ってたら抱きしめられて。
ふいに優しく分身を握られて。
先走りがダラダラあふれて濡れてたそこをオマエが長い指で擦るから、アッという間に弾けてしまった。

そうなると、すぐには硬度を取り戻せない。


「マエ〜ッ、
今日はオレが可愛がってやろうと思ったのにィ」


「ありがと(笑)
でも俺、あなたの愛撫が気持ち良過ぎて、もう我慢できないから」


見るとほんとに今にも弾けそうに勃ち上がったオマエの分身。
でもオマエは、こうなってもすぐには爆発しないんだよな。


「あなたイッたけど、いいよね?」


ってナニが?

オレは爆発した快感のせいで、もう体に力が入らない。


「もっかい俺と一緒に頂点いこ?」


「やだ」


「(笑)
あー、可愛いー」


「もう出ないもん」


「うん、あなたは出さなくていいよ。
俺が出すから付き合って」


「疲れるから。
オレが口で」


やってやるから、って言おうとしたのにキスで口をふさがれて。
ボーっとなってる間にアッという間に挿れてきやがった。

それだけでオレはまた軽くイく。


オマエは抽送しながら、軽々と何度も体位を変える。
オレの耳や首を撫でたり、乳首を刺激したり、肋骨に触ったり。
背骨や尾てい骨にもくすぐるように触る。
そのたびに体の中に甘い刺激が走るから、オレはもうオレを保っていられない。
スライムかなんかになったみたいに、オマエに感じるだけの生きものになってしまう。


最後は後ろから深く挿されて、亀頭を揉まれて、イかされた。
弾けなくてもイくなんて、こんなこと、オマエと以外ゼッタイ起きない。
密着するために後ろからオレを抱いた左手が、オレの胸の乳首をつぶしてた。






「ね?」


オレの頭を撫でながら、髪に唇を寄せたオマエが優しい声を出す。


「ん?」


気持ち良さにまどろむように溶けてるオレは、声出すのもかったるい。


「俺のソロ曲、なんであれにしたの?」


「オレが聞きたかったから」


「あなたが選んだの?」


「当たり前だろ?
他に誰が選ぶんだよ?」


「そっか」


ぎゅー。

オレを抱くオマエの腕にチカラが入る。
それだけでオレはキュンとする。


「どんな演出したら効果的かな、って何人かに聞いたけどな。
でも決めたのはオレだよ。
なぁ、歌ってる時、ちょっとはオレのこと考えた?」


「(笑)ぜんぜん」


「えーっ?
ちょっとぐらい考えてよ?」


「やだよ、あれ、別れの歌なのに。
なんであなたとの別れを想像しなきゃなんないのさ?」


「だってオレ、絶対オマエより先に逝くんだもん。
生き残りたくないから」


ぎゅー。

オマエの腕にまたチカラが入る。
今度はオレからもオマエに密着した。


「オレを独りにしちゃヤだ」


「……あなたは、独りになんかなんないから。
必ずあなたを大事に思う人が周りに」


「オマエじゃなきゃダメだから」


言いながら、ふいに心に影が差した。


「それともオマエ、オレが他の人に抱かれたらいいと思ってんの?
こんな甘ったれのオレがめんどうになっ」


甘いキスが落ちてきた。
何度も角度を変えて舌を吸われて、なだめられる。
なんだよ、びっくりしたぢゃん。
唇を離してオレはオマエの首に頭をこすりつける。


「オレ、オマエがいないと幸せになれないもん。
わかってんのか?」


返事の代わりにまたぎゅーってされた。


「ちょっと待って?
その理屈だと、あなたは残された俺が他の人と仲良くなってもいいって思ってるってこと?」


笑。


「ィヒヒッ。
ばかだなー(笑)
オレは長生きすんだから、オレが死ぬ時オマエはもうじいちゃんなんだよ。
だからそんな心配はいらないんだ。
その時オマエができることは、せいぜい思い出の整理するだけだよ」


「えーっ?
なんだ、それ?」


ちゅ。


「まったく勝手なんだから。
仕方ないから俺は、あなたをちゃんと看取ってから、寂しくて恋しくて、追いかけるように死ぬことにするよ」


「そん時は川を渡らずちゃんと待っててやるから」


オマエは、ひでぇ、とか何とかぼやきながら、オレを抱き直して、居心地のいいポジションを探した。



赤の他人だったのに、こんなに家族みたいにつながった不思議。



キラキラ。

オレたちはもう、ずっと一緒に行くんだぞ。



どこまでもな。












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