マークside
さっきのヘチャニのはにかんだ顔を見て顔を赤く染めてた奴らに睨みとともに無言の圧を送りながら2年生のフロアへと向かう
まぁ、惚れたところで俺には絶対勝てないから無駄な心配はしてないけど、念の為、ね?
変な気を起こされても困るし
ヘチャニは自分がモテないと思ってるけど、そんな事はなくて、告白されたことがないのは俺が牽制してるからだ
ソルチキ俺が知る限りでもヘチャニを好きなった子はざっと100人は軽く居る
でも、今日の登校の様子とか見てても分かると思うけど、あれを日常的にやってるし、ヘチャニも俺の事が大好きだって皆分かってるから大抵の人は下手に手を出してこない
"大抵の人は"
それ以外の人はって?
諦めさせてるんだよ
方法はナイショだけど
聞かない方がいいかもね
妹のためにそこまでするか?って思われるかもしれないけど、好きなんだから仕方ない
だから彼女を作るつもりもないし、必要ない
だってヘチャニ以上に可愛くて、愛おしいって思う女の子なんてこの世に居ないんだから
いつからそんなに溺愛するようになったのか?
うーん、気づいたら自然と溺愛するようになってたからよく覚えてない
あ、そうだヘチャニが一番最初に話した言葉はね、"おっぱ"なんだよ
今思えばその時からこうなる事は決まってたのかも
でも決定的なのは小学校の時のアノ出来事かな
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あれはヘチャニが小学3年生で、俺が小学4年生の時
小学生とかそれぐらいの男子って"好きな子はいじめたい"みたいな子が多いじゃん
ヘチャニもそれでよく意地悪されてて
休み時間に友達と遊んでたら追いかけられたり、教科書を隠されたり、色々あったな
登下校は俺と一緒だったから何も無かったけど、教室に入る前に"行かないで"って目で俺のことを見つめるから、もう自分の教室に連れていくか、一緒に帰るか本気で考えたこともあった
教室の前で別れる前のハグはこの時から始まったんだよね
俯いて教室に入っていくヘチャニを見るのは心が痛かった
先生にも相談したんだけど、ガキって変なところで頭が回るから2週間ぐらい続いてたんだよな
そんなある日、昼休みが終わる直前にヘチャニが泣きながら俺の教室にきた
こんなこと初めてだったから、どうしたらいいか分からなかったけど抱き締めても頭を撫でても泣き止まないヘチャナを前にして、あの時は本当に焦ったのを覚えてる
とりあえず先生に事情を説明して保健室に行かせてもらった
保健の先生はちょうど出張でいなかったから、ソファーに並んで座って背中を摩ってたら、ヘチャニが泣きながら
って言ったの
俺もなんでか分からなくて「どうして謝るの?」って聞いたら、どうやら俺がへチャニが誕生日の時に初めて自分のお小遣いで買って贈ったクマのキーホルダーを意地悪されてた男子に壊されちゃったみたいで、何度も泣きながら謝るから、「大丈夫だよ、またオッパと一緒に新しいキーホルダー買いに行こ?」って必死に慰めた
ヘチャニは悪くないんだから謝らなくていいのに、てゆうか誰だよ泣かせた奴は
生まれて初めて怒りという感情を覚えたのもこの時だったな
その後の休み時間にヘチャニの担任がやって来て相手の男子について教えてくれたから、放課後ソイツらと話すことになった
放課後になって保健室で待っている時も手が震えてて、優しく繋いでる手とは裏腹に心の中は殺気立ってた
3人の男子が入ってきたけど、泣いたへチャンの顔を見てハッと後悔したしたような顔をして、手を繋いでピッタリくっついて座ってる俺を視界に入れると、羨ましそうな顔で見てきたから、「あぁ、コイツらはヘチャニが好きなんだな」ってすぐに分かった
まぁ、泣かせるような奴らにヘチャナを想う資格なんてないけど
その時の俺はよっぽど怖かったのか、3人の男子は全員泣いてた
先生の分まで俺が怒っちゃったから、先生は特に何も言ってなかったけど、その3人にしっかり謝らせて話し合いは終わった
それだけで終わるわけが無い俺は、翌日その3人の元に行って二度とヘチャナと関わらないように釘を刺しておいた
こんな事があったから、より一層ヘチャニを守らなきゃって思いが強くなって今に至る笑
あの後一緒に買いに行ったお揃いのクマのキーホルダーは俺の宝物の一つで、今も大切に持ってるよ
ちょっと話しすぎたかな
でも今からHRだから丁度良かったよね?
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。