拓哉side
なんとなく、気づいてはいた。
けど、本当のことを知るのが怖くて
現実から逃げてた。
斗亜に呼び出されたとき、
あなたの下の名前のことだな、って
なんとなく感づいた。
足が震えて、立ってられないくらい、辛かった。
苦しかった。
お試し…って言ってたっけ
そんなこといっても
人間の気持ちやから、
あなたの下の名前がいつ深田のことを本当に好きになってもおかしくない、よな
もっと早く、深田とあなたの下の名前が出会う前に
気持ちを伝えてたら
今あなたの下の名前の隣におるのは俺だったんかな、、
“あなたの下の名前の幸せが俺の幸せやから”
なんてかっこいいこと、俺には言えない。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!