そんなどうでもいいことを考えていると、ガラリと音をたてて教室のドアが開き華澄が入ってきた。瑠美はあからさまに嫌そうな顔が表情に出ている。今日は一段と機嫌が悪い。私はあの瑠美の顔を避けるようにして、サッと華澄の方へ向かった。
「華澄、おはよう……」
「あっ、亜弥おはよう」
私は挨拶をしながらみんなから見えないようにコソッと瑠美を指差し、先程の筆箱のことと瑠美の機嫌について話した。恐らく今日はいつもより酷いかも、と。
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あのまま、五ヶ月が過ぎた。今日もまた陰口だのなんだの言われるんだろうななど考えながら教室に入った。その時私の目に入ったのは今まで通りの景色ではなかった。机の上には“しね、消えろ、ブス、学校来るな”等の落書きと共にゴミ箱から出したであろうゴミが散乱していた。私は今、目の前にある景色を信じることができなかった。
「えっ…………?」
短い言葉。瑠美の方を見ると、未来と一緒にクスクス笑っているのが見えた。いや、瑠美達だけではない。みんなだ、クラスメイト全員が私の方を向いて笑っていた。その時、反射的に華澄の席を見た。するとそこには泣きじゃくっている小さな背中。華澄だ。同じだった。華澄の席にも私の席と同じように暴言の落書き、牛乳パック、ゴミが散乱していた。
「華澄、行こう」
そう言って、私は華澄の腕を引っ張り教室から出た。後ろから「ざまぁ!」「泣くとかまじでありえねぇーッ!」「クソウケるんですけどー!」色々聞こえた。
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先週の出来事から一週間がたった。その間ずっと私達は下にいた。ずっと、ずっと下で床に這いつくばって、ただ潰されるのを防ぎ、負けないようにする、それくらいしか出来なかった。何回も授業で言われたことが頭に浮かんできた。
『悪いのはいじめ』
『君は、悪くない』
わかっているけども、いざ自分に刃先を向けられるとそうは思えなくなってしまう。誰に言ったって結局かわらないじゃないか。先生は話を聞こうとしない。親は夜遅くまで帰ってこない。そして華澄も、もう辛くて仕方がないだろう。
「私さ、明日から学校行くのやめるね。」
華澄が言った。別に無理に止めようとは思わなかった。華澄が苦しくない方を選べばいい。華澄が怖くない方を選べばいい。私が口を出すことではない。何も言わないで黙って華澄の話を聞いていた。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。