第57話

「 待ち合わせ場所 」
5,916
2022/12/10 15:40

side:YOU









到着したのは誰も近寄らないような


芸術の都市として知られらているロンドンには


不釣り合いな廃倉庫だった。


… 今日、スーツできたんだけど。


服を汚したくない私はヒールを扉の窪みに引っ掛けて


勢いよく足を横にスライドする


しばらく油を差してもらっていない扉は


汚い音を立てながら少し開いた。











『 … 誰もいないの?』












中は昼だと言うのに暗くて、


呼びかけてみたが返事はない。


呼びつけたんだから居ろよ。なんて悪態をつきながら


足を踏み入れた時、


背後から微かな足音と銃の音が聞こえて


咄嗟に身を屈めその反動で身体を捻り


胸ポケットに仕込んでおいた小型ナイフを取り出し


相手の背後から首にそれを当てた











『 誰だ 』




キャンティ「 … キャハハ。やっぱキナリレは強いなあ 」




『 … キャンティ 』













相手がキャンティだと分かると



ナイフを下ろし胸ポケットにしまう













『 キャンティ、こう言うのはやめてっていつも言ってるじゃない 』




キャンティ「 相変わらずキレッキレだねぇ 」




『 話を聞きなさいよ … いつか本当に怪我するわよ 』




キャンティ「 キナリレになら本望だよ 」




『 … 変わってるわね 』




キャンティ「 アンタの方がネジはぶっ飛んでるよ 」




コルン「 … キナリレ、怒ってる 」




『 怒ってないわ。ただ呆れてるだけよ 』











奥の方からコルンも出てきて


今回の仕事はこの2人と一緒かなんて


気づかれないようにため息を吐いた。













コルン「 キナリレ、これ着替え 」




『 ん、ありがとう。着替えてくるわ 』












受け取った着替えを出すと


黒のノースリーブラブニットにレザーのスキニーパンツに


ヒップホルスターを装着して44マグナムを装備する














『 ねぇ、44マグナムって扱いにくいから嫌いなんだけど。他のないの?』




キャンティ「 どんな銃だって自由自在に使いこなせちゃうくせに 」




『 だから、私はもう殺し屋じゃないんだってば 』




キャンティ「 腕は劣って てないんだからいいじゃん、さっさと片付けてデートでもしようよ 」




『 嫌よ 』













キャンティの口説きを交わして


私たちは用意されていた黒色のバンに乗り込んだ












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