side:YOU
到着したのは誰も近寄らないような
芸術の都市として知られらているロンドンには
不釣り合いな廃倉庫だった。
… 今日、スーツできたんだけど。
服を汚したくない私はヒールを扉の窪みに引っ掛けて
勢いよく足を横にスライドする
しばらく油を差してもらっていない扉は
汚い音を立てながら少し開いた。
『 … 誰もいないの?』
中は昼だと言うのに暗くて、
呼びかけてみたが返事はない。
呼びつけたんだから居ろよ。なんて悪態をつきながら
足を踏み入れた時、
背後から微かな足音と銃の音が聞こえて
咄嗟に身を屈めその反動で身体を捻り
胸ポケットに仕込んでおいた小型ナイフを取り出し
相手の背後から首にそれを当てた
『 誰だ 』
キャンティ「 … キャハハ。やっぱキナリレは強いなあ 」
『 … キャンティ 』
相手がキャンティだと分かると
ナイフを下ろし胸ポケットにしまう
『 キャンティ、こう言うのはやめてっていつも言ってるじゃない 』
キャンティ「 相変わらずキレッキレだねぇ 」
『 話を聞きなさいよ … いつか本当に怪我するわよ 』
キャンティ「 キナリレになら本望だよ 」
『 … 変わってるわね 』
キャンティ「 アンタの方がネジはぶっ飛んでるよ 」
コルン「 … キナリレ、怒ってる 」
『 怒ってないわ。ただ呆れてるだけよ 』
奥の方からコルンも出てきて
今回の仕事はこの2人と一緒かなんて
気づかれないようにため息を吐いた。
コルン「 キナリレ、これ着替え 」
『 ん、ありがとう。着替えてくるわ 』
受け取った着替えを出すと
黒のノースリーブラブニットにレザーのスキニーパンツに
ヒップホルスターを装着して44マグナムを装備する
『 ねぇ、44マグナムって扱いにくいから嫌いなんだけど。他のないの?』
キャンティ「 どんな銃だって自由自在に使いこなせちゃうくせに 」
『 だから、私はもう殺し屋じゃないんだってば 』
キャンティ「 腕は劣って てないんだからいいじゃん、さっさと片付けてデートでもしようよ 」
『 嫌よ 』
キャンティの口説きを交わして
私たちは用意されていた黒色のバンに乗り込んだ
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。