side:YOU
突然だが、私はギャップに弱い。
普段キチッとしている人が恋人には甘えん坊だった、とかそんなやつが。
だから私は降谷さんに負けた
しかし一つ言い訳をさせてもらいたい。
あんなにかわいくお願いされたら聞かないわけにはいかないと!!(
ということで私は成人男性に頑張って手を貸し
どうにか7階の自分の部屋にたどり着いて鍵を開ける
ちなみにこのマンションは陣平の住んでいた松井あなた用の15階建てである。
『 降谷さーん、着きましたよ 』
降谷「 んん … 」
、ドサッ __
『 え、ちょっと待って降谷さん!??』
決して床に押し倒されているとかそんな甘い状況では決してない。
玄関を開けとりあえず降谷さんをベッドの部屋まで運ぶと
彼は突然、1人でベットまでふらふらと歩き
ドサリと寝た。
スーツも着たままなのにそのまま寝息を立て始める
『 うう、マジで …。降谷さん、せめてスーツは脱いでくださいよ、シワになりますよ 』
降谷「 …… 」
『 … はあ、』
仕方ない、五徹の後だ。
とりあえず降谷さんの体を片方ずつ持ち上げてスーツを脱がせて
近くのハンガーにかけておく
『 … ふふ、赤ちゃんみたい 』
小さく開いた口を突きながらそう呟く
ぷくりとした唇が赤ちゃんみたいに柔らかい。
恐るべしイケメン … なんでも完璧でいやがる ( )
と柔らかな金髪を撫でたら、
突然頭の中をフラッシュする見覚えのない記憶
、
_ 「 きれいなかみのけだね、ほうせきみたい! 」
_ 「 きみのめは、うちゅうみたい! 」
小さな金髪の男の子と私が話している記憶。
男の子の顔は見えないがなんとなく、
降谷さんに似ているような ………
『 いいや、そんなことない 』
当時の男の子は毎日何かしら怪我をしていた
ケンカは弱かったらしい。
私は毎日手当てをしていたような気がする。
そんな子が降谷さんなわけない、笑
『 降谷さんはきっと、昔も強いだろうし 』
そして私はそのことある約束をした気がする、
_ 「 君のことは僕が守る。君のことも僕が助けるからそれまで待ってて 」
そんな幼い頃に交わした約束を
私は心のどこかでまだ期待していた。
だから、絶対に違うと分かっていても
男の子と降谷さんを重ねてしまった
NEXT ⇒
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。