「すきなの。………悠。」
あぁ。悠の瞳に
「……っあなた」
わたしがちゃんと写ってる
「ごめn」
「いいのっ。告いたかっただけだから」
……………。
「悠、幸せになってね」
今できる最高の笑顔を作る。
「………じゃないと、ぜったいゆるさないから」
「……その傘使っていいよ。わたし走って帰るから」
大丈夫。ちゃんと告えた。
"悠の幸せが一番だいじなの"
"悠、幸せになってね"
わたしはいつも嘘つきだけど、せめてそれがいつか100%本音になるように、
一歩前に進めたんだ。
───────
「おはよー」
「あんなに濡れて帰ってたけど体、大丈夫そうでよかった。」
「悠もね」
「……えーと傘、ありがと。」
「あ、そうだった。…あはっ悠またネクタイ………歪ん、でる…。」
「ありがと」
「……今度からは、もう直してあげないよ。」
「…うん」
「"お隣さん"同士これからもよろしくね」
_______もう、戻れなくなってしまった。
教室のベランダ。ここは、わたしとゆいちゃんの特等席。
「そっかー……頑張ったねあなた」
「うん。……フラれちゃったけど、初めてわたしをちゃんと見てもらえたよ。ゆいちゃん、ありがと。いろいろと」
「…むぎゅーっ!」
「は、わっ!」
く、苦しい……。ぎゅって力込めすぎだよ…。
「……よし!合コンすっか!!」
「ぇえ!?」
「男の傷は男でしか癒せないの!」
「む、むりですー!」
「なーそこの2人ー」
「「は?/へ?」」
「なに?月崎」
「今日、近くの神社で祭りあんじゃん?」
……あぁ、そういえば。毎年優の家とうちで一緒行ったけ……。でも今年はきっと…。
ハッ!ダメダメ!そうやってすぐ暗くなっちゃ!
「桧山と黒田も一緒に行かねー?」
「どーする?」
「たのしそう!」
「はい決定ー」
暗くなっちゃぜったいダメだからね、わたし。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!