第37話

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2020/10/02 10:38

浦田くんと別れて、急いで電車に乗り地元へ帰った。








悠……。













会いたいよ。











走った。

ずっと走り続けた。



喉の奥が血の味がして苦しかった。




でも、会いたい。

気持ちを伝えなきゃ。








涙が浮かんで目の前の景色がぐにゃりと歪んだ。











「!」

悠!



改札を抜けると、ぽつんとたっている悠を見つけた。










まだまだ周りには人が沢山いる。




でも、お構い無しに1人、立ち止まってしまった。








「あなたっ!」













悠は振り返ると、わたしに気づき名前を呼んでくれた。











「お、おれあの時びっくりしたんよ。自分でも気づかんうちにあなたのこと、そういう風に思っとったんかなって。


おれは、"母親"をほとんど知らんから、そういう気持ちを持ったことが無いなんて言いきれん。だけど、今、誰よりもあなたのことが好きやって思ってる。この気持ちは絶対だから。
おれには……。おれには、あなたが居ないとダメなんだよ…っ」













…悠……。










おそいって、伝えてくれるの……。

















「………って。」

「え?」




「もう1回言って……!!」





「!…あなたがいなきゃダメやっ!」













周りの目もはばからず、わたしを抱きしめる悠。









………ゆっくり離れ、やがて悠は両手をわたしの頬にあてた。





それから顔を近づけ、そっと鼻先に口付けをした。




ううん。

わたしはもっとわがままだよ。











それから人の目も気にせず、口付けを交わした。





また、気付かぬうちに涙がこぼれていた。

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