第32話

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2020/10/01 14:02

浦田くんについて行くこと3分。




その"いいとこ"に着いたみたい。









「…浦田くん。なぜ、プール……?」











そう。

今は2人でプールサイドに、ぽつんと立っている。






「涼しくて、人がいないから」


「それは、そうだけど……」






そう言うと浦田くんは、靴を脱ぎ始めプールに足をつけた。



そして、寝転がって教科書を眺めはじめたのだ。



……まぁ、いっか。






わたしも靴を脱いで足をつけてみた。







「わっ冷た…。」









ぱしゃっ











「!……え、なに?」





突然浦田くんが水をかけてきた。


しかも、それは1回だけでなくどんどん水をかける量も、増えていった。





次第に周りの音は、ばしゃばしゃという音しか聞こえなくなった。








「ちょ、わ、わわ!」







やっと止まった浦田くんの手。


浦田くんがニヤニヤしていたのは見逃さなかったからね!







「もう!……制服びしょ濡れになっちゃったよー」




…って何楽しんでんの!?

わたし!





勉強しに来たんじゃん!






とりあえず教科書を出そう。




そう思いカバンを漁っていると、スマホがチカチカ光っているのが見えた。



なんだろう……?










スマホを手に取ると、ディスプレイには、悠からの電話が3件も来ていたことを示していた。









「……あの、わたしちょっと電話出てくるね。」










そう立ち上がろうプールサイドに手を着くと、浦田くんはわたしの手をおさえ、行く手を阻んだ。









「………浦田くん?」


「ゆーくんってさ、ついこの前まで別の女の子と付き合ってたんでしょ?」


「…………」


「……フツー好きな人ってそんなすぐ変わんないじゃん。あいつの"大事"は桧山とは別の気持ちだよ。」
















全身の力が抜けた。




















気づいていた。







何となくわかってたんだ。









でも知らんぷりしたかった。










全てを手放す感覚











右手にスマホを持っていることも忘れて。













「_______山っ」


「っ!」


「桧山!」


「……あ、わっスマホが!」


「まて、俺がとる」


浦田くんの助言に耳を貸さず、急いでプールに落ちたスマホを取ろうとした。




早くしないと壊れちゃう。








そう急いだのが悪かった。





突然体がぐらりと揺れバランスが取れなくなった。







「おいっ!桧山!」


「きゃっ」











ドパーン…………













案の定プールに真っ逆さまだった。

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