教室にて
「はーい。スーパボールすくえなかった、桧山ちゃんのマネやりまーす。目をおもいっきしつむって、スカ!!……あれ? どう?」
「……あはは、じょうずーじょうず……」
「…ねえ、桧山ちゃんずーっと土偶見たいな顔だよね」
「花火の時から変だよね。」
………。
「あ…。お弁当忘れちゃった。ゆいちゃん、購買行ってくる」
「珍しいね。いってらー」
わー…。すごい混むんだなぁ……。購買って。
「ん……。よいしょっ」
やっと掴んだクリームパン。
本当は、メロンパンが良かったけど。
どんっ
「は!わっ!」
「あ、ごめん」
あぶない……。
勢いよくぶつかったもんだから、クリームパンを手放すところだった。
ヒョイ
「え?」
「すんません。これも」
え?浦田くん……?
買えずに困っていたら、浦田くんがヒョイっとクリームパンを取って、一緒に買ってくれた。
「ありがとう浦田くん。あの、お金を、」
「いらねー」
「ええっ!いらねーってそんな…」
「ん、じゃあ、中庭で一緒にメシ食って」
「え?………う、うん」
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「で、なんで元気ないわけ?」
「……そ、んなことないよ。元気だよ。」
「……まぁムリに話せとは言わねーけど、何か俺にできることがあれば言えよ。」
……浦田くん
「…ありがとう」
うれしい。
ついつい嬉しくて笑みがこぼれてしまう
「……あー…そーいや、もうすぐ球技大会だなー」
「そうだね!わたしバスケとったんだけど、浦田くんは?」
「俺もバスケー」
「あ、そっか!浦田くんバスケ部だっけ?」
「そー」
「たのもしいね!」
キーンコーンカーンコーン
「あ、予鈴だ。戻ろっか」
「…見にくる?」
「え?」
「部活」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!