葬式から
何日ご飯を食べてないだろう。
何日喋っていないだろう。
目が霞み、喉もカラカラ。
いつ倒れてもおかしくはないこの状況で
"わたし"は何をしているんだろう。
ヨル兄、
煌、
幸せってなんだろうか。
【約束】…果たせそうにないよ。
もう何も分からないや…………
煌とヨル兄の幻影が見え
傍に駆け寄る
ブーッ!ブーッ!!
1台の車がこちらに走ってくるのが分かった。
…避けられない。
もう、終わりにしようか。
目を瞑る。
ガンッ!!!
鈍い音が響きわたり、遠くから誰かの悲鳴が聞こえた。
さよなら、わたしのクソみたいな人生。
『 神 様 は 意 地 悪 だ 』
自分に不都合が起きた時とか
ほとんどの人は、そう言うだろう。
でも
わたしにとってのカミサマは
そんな生易しいもんじゃない。
だってホンモノのカミサマは、不平等で不公平
悪魔みたいな存在だから。
なんで分かるかって?
…………会ったことあるからだよ。
多分、もうすぐ来るんじゃないかな。
私が初めて会ったのが、トラックに轢かれた時。
この人、いや、この"神"によって
大切な人を奪われ、私自身に災いをもたらす。
全ての要因、
クソみたいな存在。
本気の目だ……
なんで私から、大切なモノを奪うんだよ。
それとも
どうなんだよっ……!
最初から……?
どういうこと?
何でそんなこと
そんなのって…………
そんな人生……運命なんて要らない。
このカミサマは、余裕そうにふよふよと浮いている。
いや、羽の役割果たせよ。
まさか、わたしの自殺を止めてたのもこのカミサマ?
『強さ』……?
少し、分かる。
でもわたしは、嫌悪より"嫉妬"の方が勝った。
だって、わたしとは全然違ったから。
親からの愛も、友情も全て。
まるで、わたしの心の内側を見ているように、愉しそうに同意を求める。
その感情はもう捨てた、
"今"はとても大切な人だから。
面白くなさそうに、口の先を尖らせる。
アイツ?
最高神から愛された子が煌ってこと…………?
ヒュッ……!
わたしの喉先に尖った茨が寸前で止まった。
カミサマの方を見てみると、笑顔をなくしただ無言でこちらを見ている。
いや、そもそももう死んでるじゃん。
煌の死因、間接的……それは"いじめ"を使って追い詰めたってこと?
震える声で聞き返す。
ケロッとした態度で認めるルア。
そうだ、、ルアにとって、人を殺すことなんて造作もないんだ。
一気に低くなった声色に恐怖を覚える。
いつかに見た、真っ暗な瞳の奥が恐怖をよみがえらせる。
"乗り移る"……わたしは死んでなかったから転生では無いのか。
狂ってる。
ピシッ………
真っ暗なこの空間に光の亀裂が入る。
いつの間にか、黒いモワモワと白い光に包まれた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。