第36話

第34段
1,356
2022/06/06 11:05
まさか………
そんなことって……
?「瓦礫に巻き込まれたばあちゃん助けるために俺を先に行かせて、自分はあとで……」
『………』
私は、あんなに優しい人を見殺しにしてしまった。
そんな罪悪感がふつふつと湧いてきて、男の子の顔を直視できなかった
顔を俯かせて、ただ話を聞くことしかできなかった。慰めることも声をかけることもせず、ただ、また、見ていることしかできなかった
?「切り替えて前に進むしかないのは俺だってわかってる。だけど……」
私は声を震わす男の子の声にハッとして顔を上げ、男の子の顔を見ると、大きな涙の粒を流していた
?「一緒にいたかった!!俺だって力になれたはずなのに!!」
『……』
なんて声をかけるべき?
私は、なんて言えばこの子を救ってあげられる?
その時の私は、何もわかりませんでした
そんな時、やはりあの人が現れたのです
白澤「大丈夫だよ」
?「!」
白澤「お姉ちゃんはあの世で待ってる。笑ってまっててくれてるから、安心していいよ。こんなことがあったーとか、こんなふうなことでこうなったーとか、そういう思い出話をたくさんしてあげれば、お姉ちゃんもきっと笑ってくれると思うよ」
それは、白澤様ならぬ言葉でした。
男の子は泣き止んで、少し元気になりました。私はその姿を見て、絶望しました。
閻魔「さて、そろそろ片付けようか?」
?「俺も何か手伝います」
お香「有難い申し出だけど、もう遅くなっちゃうし、早く家に帰ってお母さんを安心させた方がいいわ」
?「…うん」
『………』
?「おい!お前」
『はい?』
?「その……いろいろ助かった。今度会ったら…飯でも奢るわ」
『私はそんな、何も』
?「いいから。……絶対だからな」
『……はい』
『なぜあんなことを言ったんですか』
私は睨みつけるように白澤様にそう言った
『あの世に行ったって、あの人のお姉さんは____』
白澤「じゃああなたちゃんは、どんな方法であの子のこと慰められた?」
『それは……』
白澤「嘘って確かに悪いものかもしれないけど、あれはついていい嘘だった。じゃなきゃ、あの子は助けられなかったんだよ?」
『……』
いけない、私がそうやって出しゃばっちゃ……
『……ごめんなさい。少し、頭冷やしてきます』
『はぁ………』
失敗ばかりしかしていない……
?「だったらいっそのこと、全部失敗しちまえばいいと思うぜ。あなたチャンよ」
『!?』
いやぁあぁああぁあっ!???

プリ小説オーディオドラマ