第24話

第23段
2,164
2021/10/07 12:54
祖母「…お帰りなさい」
『……ただいま帰りました』
祖母「…クラスメイトを突き落としたのは、本当にお前さんなのかい?」
『…違う。私、やってない…』
『なのに、誰も信じてくれない』
祖母「………」
『おばあさまも、私がやったって思う…?』
祖母「思わない」
『!』
祖母「あなた、お前はみんなが憎いかい?」
『…わからない。けど、好きじゃない』
祖母「…お前さんは、どうしたい?」
『…?』
祖母「みんなに認められたい?みんなに褒めてもらいたい?」
祖母「お前さんは自分の意見をハッキリ言わない。そのままだと周りの言葉に惑わされるだろう」
祖母「誰にも惑わされず、自分の道は自分でお決め」
『…』
色んな人が私を褒めてきた中で、祖母だけは1度も褒めたことがなかった
祖母が1番私のことを長く見てきてくれた
だから私にもわかる
おばあちゃんは優しい人なんだって
そうじゃなかったら、こんなに厳しくしてくれない
こんなふうに私のことを見てくれてないから
祖母「死ぬのなら死になさい」
『……』
祖母「人の命は儚い。脆い。すぐに消えてしまう。前を向いて生きろだなんて、何の苦痛も知らない若造が言うことだ」
祖母「大事なのは生きることじゃなくその人の生き様だよ」
『………ありがとう、お婆様』
『お婆様のところに、帰ってくるから。ちゃんと見送ってね』
祖母「それが私たち巫女の仕事さ」
母「どうしたのあなた、こんなところに呼び出して」
先生「本当のことを話してくれる気になってくれたか?」
モブ「………」
『…私のこと、どうしても信じてくれませんか?』
母「何言ってるの。あなたのことは信じてるわ。だからこそこの子に謝って欲しいの」
『……』
期待して
期待して
そして返ってきた回答が
そんな言葉だった
孫に死ねという祖母は、この世にいない
でも私は言われても悲しくない
巫女という役目を背負ってきたからわかる
お婆様が戦争という残酷な時代を生き延びてきたからわかる
人の命は簡単に潰せる
華やかに
静かに
目を瞑って
私は身を任せて飛び降りた
私はこんな死因で死ぬんだ
お婆様が必死に生きたあの残酷な時代は
目の前で人の皮が剥がれて、熱くて苦しい炎の中を彷徨って
苦しさなんて、想像もできないんだろうな

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