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第1話

プロローグ
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2018/01/24 09:38
「あまっ…」


キッチンで鼻歌を歌いながら楽しく料理している私、あなた。


ちょうど型から外したチョコに手を伸ばして食べたのは…


「…勇我(ゆうが)っ!!」


私の兄。


もう、勝手にー!!


「甘すぎんだろこれ…

誰が食べんだよこんなの。」


むかっ。


勝手に食べといて文句!?


それに、“こんなの”ですってー!?


「勇我には関係ないでしょーっ!」


キッと睨みつける。


「はぁっ?

アドバイスしてやってんのー、感謝しろ。」


「別に勇我のアドバイスとかいらない!!

…それに、湊は甘党だし。」


「ミナト…?」


「あ。」


やば…


心の中で言ったつもりが、口に出てたみたい。


「へーぇ、ミナトっていうんだぁ、あなたの好きな奴。

同じクラス?」


ニヤ、と勇我が不敵な笑みを見せる。


…。


実を言うと、湊のことは別に好きではない。


欲しいって言われたから作ってるだけ。


でも…


「ゆ、勇我には絶対に教えない!!」


誤魔化しておく。


その方が、私も…ラクだから…。


「…なんだよ、つまんねぇな。

つか、バレンタインって1ヶ月も先だろ?」


頭を掻きながら勇我が言う。


「いいのっ、練習だもん!」


それに、他にも渡す人いるし。


「へぇ…?

そーだ、オレがどんな男か見定めに行ってやる。」


「ちょ、余計なことしないで!!

教室にも来ないで!」


私はムキになって叫んだ。


「友達に何も、私たちのこと…言ってないんだから…。」


来られたら迷惑以外の何物でもない。


勇我ははぁ、とため息をついて言った。


「は、別に誰も疑わねぇだろ。

第一、あなたは元のままだし。」


「そうだけど…」


私たちの秘密。


バレちゃいけない秘密。


私たちの、事情。

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