第21話

好きの理由
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2018/02/05 09:14
怜我くんに、全部話した。


勇我に告ったことも、まだ好きなことも。


ただ、会議室にいたあの女の子のことは言わなかったけど。


もしかしたら、あの二人付き合ってるかもしれないし、勇我って色々言われるの嫌そうだから。


怜我くんは最初驚いた顔してたけど、責めたり引いたりしないで最後までしっかり聞いてくれた。


なんか、話したらスッキリした。


モヤモヤがスーッと無くなって、逆に、何ごちゃごちゃ悩んでんだろうって。


「偉いね、あなたは。」


「へ?」


偉い??


「だって、自分の気持ちに正直で、それをちゃんと相談できるじゃん。」


怜我くん…?


「怜我くんも、なにか悩んでるの?

だったら、相談乗るんだけど…」


怜我くんも好きな人とかいるのかな?


でも怜我くん、カッコイイしモテそうだし、恋愛に困ることないだろうに。


そーいえば、恋愛事情何も知らないや。


前に歩夢が『直哉には彼女がいる!』とか言ってたけど、怜我くんの浮いた話、聞いたことないなぁ。


「え、ないよ?

あー、オレはね、それ以前の問題なわけですよ。」


「えっ?」


「オレ、好きな人いたことないし。」


「え。」


好きな人が、いたことない…?


それじゃぁ…


「初恋もまだ!?」


「まぁ、そーゆーことになるかな。

オレ、恋愛感情が欠落してるのかな?」


ははっと笑いながらもどこか切なそうな怜我くん。


「そんなことないよっ!

きっと見つかるって!」


そっかぁ、初恋もまだかぁ。


なんか意外。


彼女いそうなのに〜。


「ふふっ。」


なんか変な感じ。


男の子と恋バナしてるなんて。


それに、自分の兄と。


「あ、笑ったな!?」


「へっ!

いや違うよっ!

怜我くんのことに笑ったんじゃなくて!!」


誤解しないで〜!?


「あははっ、必死すぎ。」


怜我くんに笑われちゃった。


ドアの向こうからチャイムの鳴る音が聞こえる。


「そろそろ行かなきゃね。」


立ち上がった怜我くんが言う。


「うんっ。

話聞いてくれてありがと。」


気持ちが軽くなった。


「いえいえっ!

またいつでも相談乗るからさっ。」


優しいなぁ、ほんと。


怜我くんの彼女さんはきっと幸せだね。


「あ、怜我くんっ、このことはくれぐれも他言無用で…」


私が手を合わせると、怜我くんはニコッと笑った。


「もちろん、内緒な!」


こんなに優しい怜我くんがいるのに…。


なんで私は、怜我くんじゃなくてアイツなんだろ。


なんで勇我のこと…。


“好き”って気持ちに、理由なんてないのかな。

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