「それではっ、作り始めましょーか!」
「はいっ!!」
2月12日。
愛衣の家にお邪魔して、バレンタインのためのチョコ作り!
作るものは違うけど、二人でやった方が楽しいもんね!
私が作るのは、カップケーキ、型抜きチョコ、トリュフ。
勇我のは特別、全部ビターチョコで。
私考えたんだけど、兄妹なんだし、いつまでも片想いし続けるわけにはいかないじゃん。
だからね、諦めることにした。
あ、ただ単に諦めるわけじゃないよ?
ちゃんと、ケジメを付けて。
決めたの、私、バレンタインの日に告白する。
勇我に、もう1度。
改めて、“好き”って伝える。
うわべだけじゃない、
ホントの勇我を知ってもなお、好きだったよって。
ちゃんと伝える。
振られちゃうだろうけど、それでいい。
そしたらもう、恋愛感情は抱かないように努力する。
兄妹として接する。
潔いでしょ?
だから最後の悪あがき。
バレンタインまでは、
恋し続けさせてください。
「よーっし!
完成!」
「あとは冷ましてラッピングだね!」
カップケーキを焼いてるあいだにトリュフと型抜きチョコを作って…
効率よくできたから2時間もかからずに出来ちゃった!
「そーいえばさ、愛衣は誰にあげるの?」
愛衣には相談に乗ってもらうばかりで愛衣の恋バナ聞いたことない。
「えっ…」
何気なく聞いたつもりだったのに、愛衣の慌てようと言ったらもう。
誰にあげるの、って言っただけで別に愛衣の好きな人当てたわけじゃないのに…。
「なっ、な、なんで!?」
「え?
単純に気になったから…。
その様子だと、好きな人がいるようですがー?
どうなんですか、岡本さん!!」
インタビュアーのように手をマイクに見立てて愛衣に向ける。
愛衣、ますます顔が赤くなってる。
「あ、えと、あなたに言うのは恥ずかしいんだけどね…」
愛衣は静かに言った。
「私…怜我くんが好きで…」
「ええっ!?」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。