「また雨降ってる。」
6月に入り、梅雨の季節が始まった。
太陽もなかなか顔を出さない日が続き、こちらも元気な日を過ごせない。
傘をさし、家へ向かう坂道の途中、物凄い駆け足の音が聞こえた。
するとびしょびしょの青年が、私のすぐ隣に来る
「えっ…あのっ」
?)入れてもらえません?瑞花(みずか)先輩
なぜこの人は私の名前を知っているのか、見たことも、喋ったことも…ってこの子近所の…
凪月)俺だよおれ。覚えてない?凪月(なつき)だよ。
「あぁ、うちの高校入ったんだ。」
凪月)まぁね。
この人は私と2つ違う凪月くんだ。
とても可愛い顔をしており、年上の女の人に結構モテる。
凪月)ね。瑞花は、友達と帰んねぇの?
「いや、なんて言うかその、先帰っちゃって、」
凪月)フゥーん。てっきりいないのかと思った。
「あはは。い、いるよ。そんなもん」
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。