第5話

【第一章】#4
208
2024/04/01 08:39
I side













目を開けるとそこは…




桜で染まっていた。
さっきより強く吹き抜ける風。
風に乗ってひらひらと舞う桜の花びら。
そして、その真ん中で、歌う一人の青年がいた。







 
もしも あの日 君を 知らない ままで いたら 今はこんな 辛い 気持ちじゃないのかな~♪
顔は桜の花びらでよく見えない。
でも、どこか整った顔立ちな気がした。







 
…え
青年と目が合った。
綺麗な桃色の瞳をしていた。
 
ま、まろ…?
I
I
えっ…!?
なんで…
俺の活動名を知っているのだろう…
しかも今、「まろ」って…
え、リスナーさん…?
 
え、な、なんでここに…?
I
I
…なんでやろ()
 
わからないんかい()
ツッコミいいな(
I
I
っていうかお前、名前なんていうん?
 
…名前、かぁ…
 
…流石に、言えないかなぁw
そうやって、どこか寂しげに笑う彼は、
どこか、見覚えがある気がして、
懐かしくて、
温かくて。







I
I
…ッ!?
急に、目眩がした。
地面にしゃがみこむ。
 
ッ!いふまろ!
I
I
ッ…ハアッハアッッ…
頭が回らない。
空と地面が回転している。
 
…ッ
 
まろ、ごめん…
 
【春の秘術:壱】"桜吹雪"






ビュウッ
周りに落ちていた沢山の桜の花びらが一斉に舞い上がる。
 
【春の秘術:参】"春眠"





青年が言った瞬間、俺の意識が薄れていく。
I
I
ッ…待ってッ
I
I
おまえ…一体、誰なんだよッ…
消えていく意識の中、力の限り手を伸ばす。
その、手を伸ばした先は…

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