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第1話

喧嘩
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2019/07/25 06:23
左京
左京
おかえり。
カナ
カナ
ただいま。
カナが、左京の横を通り過ぎようとすると、左京に肩を掴まれる。
カナ
カナ
なに?兄さん。
左京
左京
おい、その傷どうしたんだ?
カナは、小さく左京に向かって舌打ちをした。
カナ
カナ
べつに。兄さんには関係ないでしょ。
左京
左京
あぁん、関係ねぇわけねぇだろ。
左京
左京
お前がmankai寮にいる間は、いづみと俺がお前の保護者になってんだから。
カナ
カナ
だからなに。もう分かってるから。ちゃんといづみさんには怪我の手当てしてもらって理由も話すから。
カナは、左京の腕を払い談話室へと入っていった。
カナ
カナ
ねぇ、いづみさん。怪我しちゃってさ。手当てしてくんない?
いづみ
いづみ
カナちゃんが、素直に怪我の手当てお願いして来るなんて、どうしたの?
カナ
カナ
ねぇ、いづみさん。私どうしよう。mankai寮にいる間は、演劇をしている間は、喧嘩とかしねぇって、兄さんに誓ったのに。兄さんのこと悪く言われたら喧嘩してもうた。
カナ
カナ
もう演劇に顔向け出来ないよ。兄さんの演劇に夢中で純粋な演技、観れない。喧嘩した自分が恥ずかしくて、演劇に純粋に取り組めないや、、、いづみさん、兄さん、ごめんなさい
カナは、言葉の途中から泣き出し始めた。
いづみ
いづみ
ですってよ。左京さん。
カナ
カナ
えっ
左京
左京
カナ、お前な。そんなことで泣くなよ。
左京
左京
お前は、ちゃんと演劇にずっと向き合って来たじゃねぇか。俺とは違ってな。
左京は、少し悲しそうな後悔をしているような複雑な顔をした。
いづみ
いづみ
でも、怪我したの秋組と楓組のミックス公演後で良かったよ。
いづみ
いづみ
かなちゃんは、役者なんだからね。怪我したら大変!
碧彩が、談話室に入って来た。
碧彩
碧彩
いづみ、次の公演ってどこの組だっけ?
碧彩
碧彩
って!カナ!どうしたの?その傷!
カナ
カナ
碧彩さん、すみません。ちょっと喧嘩しただけっす。
カナ
カナ
大したことないっす
碧彩
碧彩
喧嘩したって、誰と?
碧彩
碧彩
至さん? 万里? 莇?それとも、左京さん?
カナ
カナ
(どうしよう。なんて誤魔化そう。)
カナ
カナ
(あっ、そうだ!)
カナは、左京に話を合わせるようにお願いするような目線を送った。
左京は、その目線を受けて、小さくため息をついた。
カナ
カナ
兄さんとの兄妹喧嘩っす。
左京
左京
少し、頭に血が登っちまった。
碧彩が、深くため息をつく。
碧彩
碧彩
左京さん、いくら妹だって言っても。一人の女性なんだからね!少しは手加減はしなさい。
碧彩
碧彩
カナ、お兄さんに苛立つのは分かるけど、殴り合いの喧嘩はだめだからね!
左京
左京
お、おう。
カナ
カナ
はい。

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