ピリピリピリツ
片付けもほとんど終わった頃、前触れもなく空緒桜の手に痺れるような痛みが走った。
ガタン
空緒桜は棚の物を巻き込んで倒れる。
奥から顔を覗かせた焜炉は、膝を着く空緒桜に目を丸くした。
空緒桜は手を押さえながら顔を上げる。
空緒桜はそう言いながら、腕を押さえる手に力を込める。
中々立てない空緒桜を焜炉が支える。
続いて戻ってきた紅丸も、焜炉と同様に驚く。
焜炉の言葉に、紅丸は顔を顰める。
空緒桜はそれを聞いて俯く。
空緒桜が呟くと、紅丸は小さく舌打ちをした。
カンカンカンカン
同時に、外からいつもの鐘の音が鳴った。
慌てて空緒桜も立ち上がろうとする。
ズキッ
しかし、すぐに手に痛みが走り顔を歪める。
ポンッ
紅丸は、着いて来ようとする空緒桜の頭を優しく撫でた。
空緒桜はまだ何か言いたそうにしたが、痛むのは事実なため、大人しくその場に座り込んだ。
紅丸も焜炉も、どことなくシュンとする空緒桜を気にしながらも火事場へ向かった。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。