第127話

《44》守る
1,150
2023/04/21 09:38
焜炉
焜炉
アオ。
如月空緒桜
如月空緒桜
(ビクッ
焜炉が声をかけると、空緒桜は一瞬肩を揺らして恐る恐る顔を上げた。
如月空緒桜
如月空緒桜
ぁ…コン…
焜炉
焜炉
ああ。悪い、驚かせたな。
如月空緒桜
如月空緒桜
…(フルフル
焜炉が謝ると、空緒桜は黙って首を横に振る。
森羅
森羅
空緒桜…
アーサー
アーサー
焜炉の横で、第8は静かに空緒桜を見守る。
新門紅丸
新門紅丸
アオ。
如月空緒桜
如月空緒桜
紅丸は静かに呼びかけると、そっと空緒桜の顔を覗き込む。
新門紅丸
新門紅丸
どうした。
如月空緒桜
如月空緒桜
新門紅丸
新門紅丸
悪い夢でも見たか。
如月空緒桜
如月空緒桜
…、
紅丸の言葉に、空緒桜は僅かに表情を歪める。
焜炉
焜炉
それを見た焜炉は、意を決したように拳を握ると、空緒桜の前に膝を着いた。
焜炉
焜炉
アオ…そろそろ、お前の事を教えてくれないか。
如月空緒桜
如月空緒桜
空緒桜は目を丸くして焜炉を見る。
焜炉
焜炉
俺たちはお前の事を知らなさ過ぎる…お前の事を守りたいんだ。
如月空緒桜
如月空緒桜
空緒桜はしばらく見つめると目を伏せた。
如月空緒桜
如月空緒桜
…もし…「言いたくない」、と言えば…無理矢理にでも聞き出しますか…?
焜炉
焜炉
空緒桜が言うと、焜炉は困ったように眉を下げる。
焜炉
焜炉
…アオ、
新門紅丸
新門紅丸
お前はどっちだ。
焜炉
焜炉
焜炉が言葉を選んで口を開くと、それに被せて紅丸が声をかけた。
如月空緒桜
如月空緒桜
え…?
一方で、聞かれた空緒桜は呆然として紅丸を見る。
新門紅丸
新門紅丸
言いたくねぇのか、言えるのか。
如月空緒桜
如月空緒桜
空緒桜はその質問に対して考えるように拳を握りしめる。
新門紅丸
新門紅丸
…強制はしてねぇ。言いたくねぇなら、俺も焜炉も第8コイツらも、誰も何も聞かねぇ。
新門紅丸
新門紅丸
…ただ

グイッ

如月空緒桜
如月空緒桜
紅丸はそう言いながら、空緒桜に向き合って目を合わせた。
新門紅丸
新門紅丸
もし、言えるんなら…俺らは真剣にそれを聞くし、お前の事を全力で守ってやる。どんな理由があってもお前を責めねぇし、軽蔑もしねぇ。お前は…お前だ。
如月空緒桜
如月空緒桜
その言葉に、空緒桜はゆるゆると目を見開き、次第に目を潤ませた。
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