第103話

《20》いつか
1,452
2023/04/20 08:27
焜炉
焜炉
そんなことないさ。
森羅
森羅
そうでしょうか…
焜炉
焜炉
ああ
焜炉は頷き、部屋の外で待っている紅丸の元へ足を向けた。
焜炉
焜炉
前から言ってるように、アオはちゃんとお前らのことを信用してる。ちょっとやそっとで怒ったりする奴じゃない。
そう言い、焜炉はニッと笑った。
焜炉
焜炉
あとはアオ次第だ。アイツ自身が大丈夫だと思ったら、そのうち自分から話してくれるさ。
焜炉はそう言って歩き出した。
新門紅丸
新門紅丸
外にいた紅丸は森羅をじっと見るが、何も言わずに部屋を後にした。
森羅
森羅
残された森羅は空緒桜の姿を思い浮かべた。
森羅
森羅
(初めて会った時は俺に笑いかけてくれるどころか、表情ひとつ変えなかった)
森羅
森羅
(けど、信用してる人の前ではいつも笑ってる。俺に…第8のみんなに柔らかく接してくれてるのは、少なからず信用してくれてるってことか)

パチンッ

森羅はそう考え、自分の両頬を強く叩いた。
森羅
森羅
何気にしてんだ!人のことだろ?プライバシーの侵害だ!!
森羅は自分に言い聞かせるように言うと、伏せた写真を見て口をムッとさせた。
森羅
森羅
空緒桜には空緒桜の事情があるんだ。俺が変に気にすることない。
森羅
森羅
(それに…空緒桜なら、いつか言ってくれる)
森羅はグッと拳を握りしめると、少しスッキリしたような表情で前を向いた。
Next➥

プリ小説オーディオドラマ