第122話

《39》いないのなら…
1,193
2023/04/21 09:31
紅丸は、出されたお茶に口をつけながら目を伏せた。
新門紅丸
新門紅丸
アイツは…好きであんな場所に1人でいた訳じゃない。
──俺と、一緒に来るか?
如月空緒桜
如月空緒桜
そう聞かれた空緒桜は、目の前にある紅丸の顔を黙って見つめた。
新門紅丸
新門紅丸
当の本人の紅丸はというと、無言の空緒桜に内心頭を抱えていた。
新門紅丸
新門紅丸
(勢いで口に出たが…大体家族とかいるだろ…俺はバカか)
先程まで掴んでいた空緒桜の頭からゆっくりと手を離しながら、そんな事を考えてゲンナリとする。
如月空緒桜
如月空緒桜
…、…
新門紅丸
新門紅丸
…?
ふと空緒桜が小さく呟き、紅丸は意識を空緒桜に戻す。
如月空緒桜
如月空緒桜
…特殊消防隊…?
新門紅丸
新門紅丸
…あ?
それを聞き取った紅丸が顔をしかめると、空緒桜は目を伏せた。
如月空緒桜
如月空緒桜
…貴方が特殊消防隊なら…行かない。
新門紅丸
新門紅丸
そしてそう言った。紅丸は目を丸くする。
新門紅丸
新門紅丸
…どういう意味だ?
如月空緒桜
如月空緒桜
紅丸が聞くと、空緒桜は上着をギュッと握りしめた。
如月空緒桜
如月空緒桜
特殊消防隊は…嫌。…太陽神も、嫌。
如月空緒桜
如月空緒桜
この街も…人間も…みんな、嫌い。
空緒桜はそう言うと僅かに表情を歪めて俯いた。
如月空緒桜
如月空緒桜
特殊消防隊は、アオの家族を…兄さんを捨てた。1人になったアオを、街は愛してくれなかった…
如月空緒桜
如月空緒桜
兄さん以外の愛情なんて知らない…アオは兄さんしかいらない。
如月空緒桜
如月空緒桜
その兄さんがいないのなら…アオはもう、消えてしまいたい。


ギュッ



新門紅丸
新門紅丸
それを聞いた紅丸は、思わず空緒桜を抱きしめた。
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