紅丸は、出されたお茶に口をつけながら目を伏せた。
アイツは…好きであんな場所に1人でいた訳じゃない。
──俺と、一緒に来るか?
…
そう聞かれた空緒桜は、目の前にある紅丸の顔を黙って見つめた。
…
当の本人の紅丸はというと、無言の空緒桜に内心頭を抱えていた。
(勢いで口に出たが…大体家族とかいるだろ…俺はバカか)
先程まで掴んでいた空緒桜の頭からゆっくりと手を離しながら、そんな事を考えてゲンナリとする。
…、…
…?
ふと空緒桜が小さく呟き、紅丸は意識を空緒桜に戻す。
…特殊消防隊…?
…あ?
それを聞き取った紅丸が顔をしかめると、空緒桜は目を伏せた。
…貴方が特殊消防隊なら…行かない。
!
そしてそう言った。紅丸は目を丸くする。
…どういう意味だ?
…
紅丸が聞くと、空緒桜は上着をギュッと握りしめた。
特殊消防隊は…嫌。…太陽神も、嫌。
この街も…人間も…みんな、嫌い。
空緒桜はそう言うと僅かに表情を歪めて俯いた。
特殊消防隊は、アオの家族を…兄さんを捨てた。1人になったアオを、街は愛してくれなかった…
兄さん以外の愛情なんて知らない…アオは兄さんしかいらない。
その兄さんがいないのなら…アオはもう、消えてしまいたい。
ギュッ
…
それを聞いた紅丸は、思わず空緒桜を抱きしめた。
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