↓↓↓本編↓↓↓
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ー浅草ー
浅草に着くと、焜炉は振り返ってそう言った。
焜炉は空緒桜の頭を撫でると、先に町の中へと歩いていった。
空緒桜は紅丸の横に並んで町へと入っていった。
相変わらずの浅草に、空緒桜は笑みをこぼす。
ふと後ろから声がした。振り返ると、近所のお婆さんが笑顔で立っていた。
お婆さんは笑いかけると、持っていた大きな風呂敷を差し出した。
空緒桜は風呂敷の大きさに目を丸くした。
顔をしかめた紅丸に空緒桜は苦笑いをし、お婆さんに向き合った。
空緒桜は紅丸を無視して風呂敷に手を伸ばした。
パッ
そして受け取ろうとしたとき、紅丸がそれを奪った。目をぱちぱちとさせる空緒桜に「行くぞ」と声をかける。
空緒桜は息を着くと、申し訳なさそうにお婆さんに頭を下げた。
空緒桜はペコッと会釈をすると、遠くなった紅丸の背中を追いかけた。
そう言いながら、空緒桜は紅丸の持つ風呂敷に目を向けた。
まだ何か言おうとしたが、空緒桜は諦めて口を噤んだ。
紅丸は何も言わずに風呂敷を持ち直した。
→𝐍𝐄𝐗𝐓
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。