ドンッ
ふと、マッチボックスに縋るような音がした。
空緒桜が見ると、焜炉が立っていた。焜炉は不思議そうに空緒桜を見た。
空緒桜は不安そうに目尻を下げた。
焜炉は、戦う紅丸たちを見て目を丸くする。
ふと、距離をとった紅丸が円を描くように手を動かした。
それを見た空緒桜は冷や汗を流した。
森羅も不思議そうにする中、焜炉が慌てて走り出した。空緒桜が呼ぶが、焜炉は気にせずに紅丸の元へ向かった。
焜炉は、紅丸と桜備の間に入って手を広げた。
紅丸たちのやり取りに、空緒桜は僅かに身体を震わせた。
空緒桜はギュッと手を握り締める。そのとき、紅丸の目が赤く光った。
ガッ
そして、振ろうとした紅丸の腕を焜炉が掴んだ。
シュウウ…
すると焜炉の手が焼け、耳障りな音がする。
空緒桜は慌てて走り出した。
押さえ込む焜炉に、紅丸はハッとする。
紅丸にもたれ掛かる焜炉。空緒桜は急いで焜炉を支えた。
紅丸が叫ぶと、2人は家の中へ走っていった。
空緒桜は悲しそうに紅丸を見上げた。
紅丸は気まずそうに空緒桜を見る。すると、焜炉が顔を上げた。
焜炉の包帯に滲む焼け跡に、紅丸は自分を落ち着かせるように大きく息を吐いた。
→𝑁𝐸𝑋𝑇
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!