ヒュルルルル
空に上がった炎を見て隊員たちが叫ぶ。
それを見た焜炉は笑みを浮かべた。
ボッ
そのとき、近くで何かが光った。焜炉が驚いて振り返ると、射手が紅丸に向かって矢を構えていた。
ボッ
焜炉はそう叫んで肩辺りから発火した。
ガッ
ドサッ
だが、すぐに痛みが走り、バランスを崩してはしごから落ちてしまった。
バシュッ
その間に射手は矢を放った。
空緒桜は膝を着いたまま呆然としていた。
小さく呟いたとき、森羅とアーサーが空緒桜に駆け寄った。
森羅が心配そうに問いかけると、空緒桜はコクリと頷いた。
空緒桜は目じりを下げる。
自分を責めるように唇を噛んだ空緒桜にアーサーが言った。
空緒桜は不安そうに顔を上げる。
思い当たることがあるらしく、空緒桜は申し訳なさそうな顔をする。
森羅がニカッと笑うと、空緒桜はようやく安心したように微笑んだ。
焜炉は咳き込みながら空へ手を伸ばした。
紅丸は気づかずにどんどん上へと飛んでいく。
『また命を捨てようとする前に、俺を使って下さい』
そのとき、焜炉の頭に森羅の言葉が過ぎった。
→𝑁𝐸𝑋𝑇
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。