僕らは初めて自分の手で過ちを冒した。
流花は殺人を
僕は……
いつの間に落としたんだ?
今来た道を戻ると時間の無駄になる
もういっそ…
僕と流花の考えは一致した
迷ってる暇はない
日が沈む前に実行しないと…
流花にばっかり罪を背負わす訳にはいかない
それに僕も罪を犯せば
犯罪者仲間だ。
お似合いじゃないか…
通行人が来ないか見ていると歩いている男の人を見つけた
50歳前半の人だろうか…
酒を飲んでいたのか顔が赤く染っていた
その人のズボンのポケットから顔を出している財布
あの薄さならバレないかもしれない
人目を確認して後ろに回りこみ
そっと財布を抜く
よし、バレてないみたいだ
駆け足でその場を後にし、
建物の裏に回る
初めて冒した犯罪。
緊張感と高揚感をこんなに感じたのは初めてだ
これで流花と同じ犯罪者だ
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。