第8話

ーそして君は首を切った。ー
258
2021/05/30 10:17
流花
流花
もうそろそろ寝るね
千尋
千尋
うん
おやすみ、流花



辺りが真っ暗になると僕らは遊具の中で目を閉じ

夢の中へと逃げ込んだ



















ーチュンチュン……


目が覚めると朝日が登っていた


今何時だろう…




外の公園の時計を見ようと遊具から顔を出すと2人の警官が巡回していた。






「朝から巡回って…」

「最近は家出する子供とかも多いからな」

「早く仕事終わらせて飯食べに行きましょうよ」

「だな」





そんな会話をしながら2人の警官は公園の中へと足を踏み入れた















千尋
千尋
流花!
起きて、すぐに出るよ!
流花
流花
どうしたの?
千尋
千尋
警官がいる
急いで!





警官の目を掻い潜り出ようとすると……



カランッカラン……




パーカーのポケットからナイフが落ちた







「誰かいるぞ!」



落としたナイフを流花が素早く拾う
流花
流花
千尋っ、走って!



僕と流花は全力疾走で逃げた





後ろからは警官2人が追いかけてくる










息が上がる


心臓が痛い



蝉の声が響き渡る





だんだんと視界がぼやけ始める



暑い



暑い



苦しい



来るな




流花だけでも…



逃げて……





力が抜け地面に倒れる





流花
流花
千尋!?




「今だ!捕まえろ!」





流花
流花
来ないでっ!!
来たらこの人を刺し殺す!




警官2人はたじろぐ






流花が持っていたナイフは僕の首筋に当たっていた







流花
流花
ありがと
千尋が今までそばにいたからここまで来れたんだ
こんなにも楽しい旅ができた
千尋のお陰で私は独りじゃなかった
だから…もういいよ……もういいんだ。
千尋…バイバイの時間だよ






流花が耳元で囁く








千尋
千尋
流花!?
僕と一緒に死ぬ約束だろ!?
流花
流花
ごめんね…
でも、死ぬのは私1人でいいよ
千尋は生きて?
生きて、生きて、生きて、そして死んでね…
千尋
千尋
流っ……!




流花が僕を突き飛ばす



地面に流れる真っ赤な血液



振り返ると流花が首から血を出しながら倒れ込んでいた






その瞬間酷い耳鳴りが僕を襲った



呼吸も上手くできない



新しい空気も肺に入ってこない




ただただ目の前に横たわる流花の姿を見ることしか出来なかった




























気づけば僕は捕まっていた

プリ小説オーディオドラマ