この話と次話は、時透くん目線です!
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あなたと会ってから、
もう三ヶ月が過ぎようとしていた。
あなたと一緒なら、
僕は変われると思った…。
でも…
結局僕は、あんまり変わってない。
自分の心は抑えてしまう。
感情より理性が…。
僕は焦っていた。
あなた、
君だけが変わってしまう気がして…。
いつか君についていけなくなる気がして…。
***
ザー(雨の音)
放課後の教室。
僕は、ゆっくりと目を覚ました。
僕たちは廊下に出た。
ザー
雨はますます強くなる。
あなたがこんな風に笑うのは、
僕の前だけだということを、
僕は知っている。
一緒にいたい…
一緒にいたい
一緒にいたい
一緒にいたい…
ぎゅっ…
僕は、気がついたら
あなたを強く抱き寄せていた。
ザアアア…
雨が強く窓に打ちつける。
ドクン…ドクン…
僕は、あなたのほっぺを
両手でつかんだ。
あなたの目を見つめる。
ゆっくりと顔を近付ける。
ピカッ ドンッ ゴロゴロゴロ…
雷…。
パタパタ…
男子トイレ。
ばしゃっ ばしゃっ(顔を洗う)
廊下に戻ると、あなたが一人
立って待っていた。
僕は、
再びあなたのほっぺに手をあてると、
あなたに…優しく…
恋人のキスをした…。
屋上の軽いキスとは違う、
本物のキスだった…。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。