私たちは駅前のパンケーキ屋さんに向かって歩く
うぃーんと自動ドアがゆっくりと開く
お店の中から甘い匂いがする
私たちは1番奥の2人用の席に腰をかける
その時だった…
彼が…
私たちの隣の席に腰をかけた
私の中で時が止まった
私の心臓はドクドクと早まっているのに
彼から目が離せない
しえりに呼ばれてようやく時は動きだした
声が揃った…?
その時…私はつい隣の彼を見てしまった
そして…目が合った…
彼の友達らしき人はかわいらしい声を上げて笑う
しえりまで笑っている
私の胸はピクッと跳ねた。
こんな…夢にまで見ていた
彼とのお喋り
今まで全く関わってなかったのに…
いきなり…
神様ずるいよ…
ころ…ん?
聞き覚えのある…その名前…
私は記憶を探る
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!