第7話

第 6 話
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2023/08/26 13:19


学校が始まって数日。


だんだん学校生活にも慣れてきて教室も少しずつ賑やかになってきた。


そんな中、私はひとり席に座り本を読む。


馴れ合いなんて馬鹿馬鹿しい。1人でいる方がずっと楽。



白波 あなた
(……日本一)


月曜日の朝礼が始まる前、火神くんが屋上から宣言したもの。


キセキの世代を倒して、日本一になる。


彼らを倒すなんて。そんなこと出来るはずないのに馬鹿らしい。


そう思うのに。


どうしてかその言葉が忘れられず、ずっと頭の中に残り続ける。





白波 あなた
・・・


もう、どうでも良いはずなんだけどな。バスケなんて。




















白波 あなた
(あっ、やば……)


放課後。


委員会の仕事を終え帰り支度を整えていると水筒がないことに気がついた。


今日午後に体育あったし、そういえば体育館から持って帰ってきた記憶がない。



流石に置いていくわけにも行かない。


そう思い体育館に向かった。















白波 あなた
……バスケ部


委員会終わりで、放課から時間はそれなりに経っている。


もちろん部活はもう始まっていて、体育館では男バスが練習をしていた。




白波 あなた
・・・


ボールが床を跳ねる音、シューズの擦れる音。


選手たちの掛け声、走る足音。


全てが不快で、あの頃を彷彿とさせる。






『なーんかさ、アイツだけ空気感って言うの?……そーゆーの違くて正直邪魔だよね~。』


『ぶっちゃけうちら同好会のノリでやってるわけだし。楽しめれば良いのに何まじになってんのかね。』




白波 あなた
……っ


頭の中でぐるぐると、あの頃の記憶が目まぐるしく回っていく。



……気持ち悪い。頭が痛い。



もう、こんな音聞きたくない。



耐えきれず耳を強く塞ぎその場にしゃがみ込む。


それでも音は全然小さくならなくて、寧ろ大きくなっている気さえする。




白波 あなた
( 消えろ……消えろ……、こんなもの……っ )



消えろと願えば願うほど、音はそれに反するように大きくなっていく。




ね、君大丈夫?
白波 あなた
…っ、!


突然、誰かに肩を叩かれて勢いよくそちらを向いた。


そこには黒髪の男の人が立っていた。




伊月 俊
あ、ごめん。驚かせちゃった?
白波 あなた
……あ、いや


先程までの騒音が嘘かのように消え、周りの音が次第に聞こえてくる。



伊月 俊
顔真っ青だけど、もしかして体調悪い?


私の隣で屈み、目線を合わせて話してくる彼。



白波 あなた
いえ、大丈夫です
白波 あなた
……落ち着きましたので
伊月 俊
そ?なら良いけど
伊月 俊
ところで体育館に何か用事?
伊月 俊
ていうか君1年生、だよね?
白波 あなた
…あ、はい。1年です


心臓がバクバクとうるさく鳴っている。


それを落ち着かせるように1度深呼吸をした。




白波 あなた
え、っと。今日の午後体育があって
白波 あなた
それで、体育館に水筒忘れてしまって取りに来たんですけど……
伊月 俊
あーなるほどね


部活してるし入りずらいか、と1人納得して頷く彼。


私はただただ俯くことしか出来ない。



伊月 俊
忘れ物なら仕方ないし全然入って大丈夫だよ
伊月 俊
あ、てか俺バスケ部だし取ってこようか?
白波 あなた
いえそんな!……悪いですよ
伊月 俊
気にしないでそれぐらい全然大丈夫だから



『ちょっと待ってて。』とだけ言い残し、体育館の中へとかけていく。




相田 リコ
伊月くん何してるの?捜し物?
伊月 俊
あー、なんか1年生の子が水筒忘れたらしくて。見てない?
相田 リコ
あ、それなら多分ステージの上に……
伊月 俊
お、あれか



扉の影に隠れながら、彼の様子を見守る。


少しして水筒を持ってこちらに駆け寄ってきた。



伊月 俊
これで合ってる?
白波 あなた
はい、これです
白波 あなた
わざわざすみません
伊月 俊
いーよ全然。気にしないで
白波 あなた
……ありがとうございます


水筒を受け取り、頭を下げながらお礼を言うとグッと親指を立てる彼。


そんな彼の優しさに、自然と頬が綻んだ。



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