第5話

第 4 話
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2023/08/23 13:17


____ バスケは好きだった 。







あなた「あっ、すみません。…使ってました?」







中学。練習終了後、1年生の頃はボールに触ることも少なく、物足りなさを感じた。


体育館は練習が終わったらすぐ鍵を閉められてしまうため、人気のない別の体育館へと足を運んだ。


……そこで、彼と出会った。







黒子「使ってますけど、僕ひとりなので問題ないですよ。」







帝光中学校、男子バスケットボール部。


強豪中の強豪で、その年は特にすごい人が多く“キセキの世代”なんて呼ばれていた。


そんなキセキの世代と私は同い年で。


私は私で女子バスケットボール部に所属していた。


女子は別に対して強いわけでもなく。


それでも私は、バスケが好きだったから。


なかなかボールに触ることも出来なかった1年生の時は、部活動終了後、あまり使われていない体育館で練習していた。







黒子「白波さんは上手ですね、バスケ。」


あなた「そうかな?」


黒子「はい。努力をいっぱいしてきたって感じのバスケです。」


あなた「何それ 笑 よく分からないけど、確かに私はバスケ好きだから。小学生の頃からずーっとボールに触ってたよ。その割には下手っぴだけど。」






休憩中、ボールを指の上で回しながら黒子くんとの会話を弾ませる。


……この時間が、けっこう好きだったりした。


ボールを回すのを止めて、そのまま両手でボールを抱えた。







あなた「私ね、もっと上手くなって試合に出て。いっぱい勝ちたいんだ。いっぱい勝って、誰よりも長くコートに立っていたいの。……大好きなバスケを、誰よりも長くしてたいからさ。」


黒子「良いですね、それ。応援してます。」


あなた「へへっ、ありがと。黒子くんも一軍になれると良いね。」







『お互い頑張ろう。』


そうに拳を見せると、黒子くんはそこに自身の拳をぶつけた。


目標が同じで、好きなものが同じで。


そんな彼といる時間は、すごく心地が良かった。
















あなた「あれ、黒子くん今日は1人じゃないんだ。」







いつもより少し遅くなったその日。


体育館へ行くと黒子くん以外に、色黒の人がその場所にいた。







青峰「誰だ?」


黒子「白波さん。お疲れ様です。」







私に気づいた黒子くんは、笑顔で私に手を振る。


そんな彼に私も手を振り返し、再び色黒の男の子の方へ視線を戻した。








あなた「あ、もしかして青峰くん?」


青峰「あぁ、そうだけど何で知ってんだ?」






なんだか見覚えのある顔で、もしかしてと思って言うと当たっていたらしく、不思議そうに私を見る。







あなた「私、女バスなんだけどそっちで結構有名なんだよね。バスケが上手い1年生!って感じで。試合も見に行ったことあるからそうなのかなーって。」


青峰「へぇ、なるほどな。んでお前は?見たことねぇ顔だけど。」


あなた「んぐっ、確かに試合なんて出たことないから知らないのは当たり前だけど……っ。」






一方的に知ってるのはなんだか悔しいな、と思いつつ軽く自己紹介をした。







あなた「女バスは男バスと違ってあんま強くないし本気度も低いって、最近思ってきててさ。……それでもね、やっぱ私上手くなって試合に勝ちたい。だからここで黒子くんと練習してるの。」


黒子「そして僕は毎日昇格目指して居残り練習してます。」


青峰「へー、すげぇな。そこまでやってんのは一軍でもなかなかいねーよ。」







私と黒子くんの顔を交互に見渡し、何かを決めたように頷いた青峰くん。








青峰「よっし決めた!これから毎日ここで一緒に練習する!そんでいつか一緒にコートに立とうぜ!」


黒子「……いいんですか?」


青峰「バーカいいも悪いもあるかよ!言ったろ、バスケ好きなやつに悪いやつはいねーって!」







黒子くんと青峰くんは互いの拳をぶつける。


……少し、羨ましいなって思った。


私にも、こうやって本気で一緒にバスケ出来る人がほしいなって。







青峰「お前も。一緒にコートに立つことは出来ねーけどさ、お互い勝てるよう頑張ろうぜ。」







青峰くんは黒子くんにした時と同じように私に拳を見せてきて。







あなた「うん。私、青峰くんより強くなるね。」


青峰「あぁ?言ったなこのやろ。ぜってぇ負けねぇからな!」







青峰くんの拳に、自身の拳をそっとぶつけた。


これが、私たちの出会いと。そして後悔への、第1歩。


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