第16話

ココア*來々side
532
2019/02/01 02:59
奈都、普通だったなぁ…


今朝も全然よそよそしくなかったし…


昨日私が…


イジワルなこと言っちゃったのに…


「來々ーっ!

何ぼーっとしてんの?

かーえろっ!」


「へ?」


放課後、私の机に手を置いた奈都が言う。


帰る…?


部活あるのに…?


「もー、今日からテスト前1週間!」


「あ。」


そっか、部活ないんだ…


私の学校はテストの前は部活がお休みになる。


まぁ、一応進学校だから…。


「樹世もっ、一緒に帰る?」


隣で帰り支度をしている樹世に声をかけると、おー、と返事が帰ってくる。


「あ、でもサッカー部でちょい10分くらいミーティングするから…

どーする?」


「あ、じゃあ私たち下で待ってるよ」


「りょーかい」


2人でカバンを持って廊下に出ると階段の方から風が吹いた。


「うぅー、寒…」


「教室はストーブがあるから暖かいけど、廊下は寒いね…」


「そーだ、樹世待ってる間ココアでも飲もっか!」


「ココア…?」


カフェでお茶する、ってこと?


でも樹世、10分って…


そんな時間ない、よねぇ…?




「なんだっ、ココアって自動販売機のかぁ〜」


「あったりまえ〜!」


90円の缶ココア。


なぜか置いてあるベンチに2人で腰かける。


「はぁ〜あったまるぅ〜…」


「あ、あのさっ」


うん、やっぱり奈都に謝ろう、昨日のこと。


もやもやしたままじゃ、嫌だ。


「んー?」


「あの、昨日のことなんだけ…」


「あ、來々っ!」


私の言葉を制して奈都が言う。


「そのことで…

私、來々に謝らなきゃいけない。」


…?


謝ることがあるのは、私の方だよ?


「來々…

昨日も、去年も、嘘ついて…ごめんっ…!」


奈都…?


「私…

樹世のことただの幼なじみなんて思ってない…」


「!」


「私もねっ、

…樹世のことが…好き…なんだ…。」

プリ小説オーディオドラマ