「おはよ〜」
ガシャン、と家の門扉を閉めて外に出る。
あ、もう待ってた。
「って、時間分かってる?」
スマホをいじっていた手を止め、私を見ながら言う。
そうだね、もう1時だもんね。
「あ〜、こんにちは?」
「ん!
じゃ、行きますか!」
「うん!」
今日はドキドキ樹世とのデートです!
…って言うのは冗談…。
明日は奈都の誕生日だからねっ!
2人でプレゼント探し。
今までは1人ずつ選んでたんだけど、今回は2人でひとつ。
その方が、高いもの買えるからねっ!
ん〜、何がいいかな?
無計画の私たち。
まぁ、いっつもこんな感じだから…。
「とりあえず、ショッピングモールでも行くか。」
「そーだね、そこくらいしかないよね」
私たちが住んでるのは住宅街で、近くにはコンビニとスーパーくらいしかない。
ショッピングモールがあるのは最寄りの駅から3駅となり。
そこまで行かないと誕生日プレゼントになるようなものは売ってないんだよね〜…
3駅となりは駅も大きくて、ショッピングモール、映画館、カラオケ、ボウリング場、おしゃれなカフェとかも沢山!
「どんなのがいいんだろうね?」
「んー…奈都だろ…?
もうこんなのでいいんじゃね?」
そう言って手にしたのは子供が買うお菓子の詰め合わせ。
「うーん…
それならスーパーでも買えるし、もっと実用的な…長く使えるのがいいんじゃないかなぁ?」
確かに奈都、お菓子好きだけど…
「はは、冗談だって」
「もー…」
ん〜迷うなぁ…
コスメとかあげてもいいんだけど、樹世と一緒にあげるから…
樹世、コスメとか絶対よくわからないし…
ちゃんと2人で選んだのがいいよね。
う〜ん…
唸ってる私に樹世は次々に提案してくれる。
ほんとに…優しい。
あっ!
「樹世樹世っ!
これは?」
すごい可愛い!
レジに並んでラッピングしてもらう。
買ったのは丸型でキラキラしてて、アロマまでついてる加湿器。
奈都、肌がすごい乾燥するって言ってたから…。
今日のすること、終わっちゃった。
3時過ぎ、か…。
まだ一緒にいたいな…。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!