第2話

ココナッツジュース*奈都side
902
2019/01/28 06:25
「っはぁ〜今日もなんとか間に合ったね!!」


授業開始5分前のチャイムを聞きながら教室に入る。


「今日も、って言葉で私たちが毎日ギリギリなことがわかるよね…」


「つか、誰のせいだと思ってんだ…」


3人で息を切らせながら話す内容はいつもだいたいこんな感じ。


「お、今日も3人揃って登校ですか、ココナッツジュース。

仲良しですねぇ…」


私の右隣の席の恩田おんだ美波みなみが言う。


「略すな!」


そこにすかさずツッコミを入れる樹世。


「だーって、その方が呼びやすいんだもん。

よくもまぁ、幼なじみで上手く名前が組み合わさってるもんだよ…」


「私ちっちゃい“つ”入ってないし!!」


「オレジュースじゃなくて“じゅせ”だから!!」


樹世と私の声が重なる。


「もぉ〜、朝から漫才みたいなことしないで…」


それに加え恥ずかしそうに來々が言う。


「細かいことは気にしな〜い!

あ、チャイム。」


みんなそれぞれが話をやめて席に着く。


私たちも美波に言い返す暇もなく、先生がが教室に入ってきてしまったため、会話強制終了。


私たち3人は幼稚園からずーっと一緒の幼なじみ。


私、遠藤えんどう奈都なつ


そして私の左隣、槇原まきはら樹世じゅせ


サッカー部キャプテンで運動神経いいし、頭もいいんだけど…


「じゃー、ここ、槇原。」


「えぇーはいっ!

ったぁ!!!」


「え、どうした…?」


「た…立とうとしたら膝ぶった…」


…たまにバカ。


そして樹世のまた隣、桜木さくらぎ來々ここ


「樹世…大丈夫…?」


「おう…なんとか…」


「ほんとに?骨折とかしてない…?」


「大丈夫だって、いや、今ので骨折してたら骨脆すぎだわっ」


樹世が來々に返しながら教壇へ向かう。


「奈都〜、樹世大丈夫かなぁ…?」


「大丈夫だよ〜あれくらい。」


「でも、でも、すごい音してたよ!!」


「心配し過ぎ!」


來々は極度の心配性。


こんな私たちはなんと、幼稚園から今年合わせて14年間クラスが一緒。


来年は高3だし、クラス替えがないから結局15年間一緒になる訳だぁ〜…


どんな腐れ縁よ…


そのせいもあって校内では割と有名な私たち。


ちなみに美波は私の所属するバレー部の部長で、1年生の時から同じクラス。


4月に会って早々、私たち3人の名前を聞くやいなや、「ココナッツジュースだね!」って。


3人でポカンとしちゃったよ。


來々、奈都、樹世でココナッツジュース。


まぁ、上手いっちゃあ上手い…かな…?


それが広まって同学年だけじゃなく先輩からも後輩からも“ココナッツジュース”で通ってしまう私たち。


まぁ、仲良しって言われるのは悪い気はしないし、いいんだけどね!


…だけど、


そんな私にも、あとの2人には言えない秘密があるの。

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