第30話

告白*來々side
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2019/02/11 12:08
「はぁー、長旅お疲れ様っ!」


「長旅…って、たった3駅だよ?」


電車を降りるて駅を出る。


夕焼けが眩しい。


けど、綺麗。


「3駅でもオレにとっては長ぇのっ!

部活ない休みの日なんて家でゴロゴロしてるからなー…」


確かに、樹世の私服見るの久しぶりだったかも。


樹世の庭のサッカーゴール使って練習してるのはよく見るけど…


「樹世って、ジャージのイメージ」


「あー、ほとんどジャージか。

持ってる服の大半ジャージだもんなー…」


ふふ、昔からそうだよねっ


ふと手元に視線をやる。


あ。


「ごめん、樹世っ

ずっと持たせっぱなしにしちゃって…」


「ん?

あぁ、全然いいよ。

こういうのは男が持つもんでしょ?」


ほら。


また、女の子扱い。


「樹世、女の子には優しいよね」


「んー、そお?

あんまり気にしたこと無かったけど。」


「優しいよ、樹世。」


ほら、こういうとこ。


自分で分かってないでしょ。


樹世はみんなに優しい。


みんなに、ね。


分かってる。


でも、優しくされたら期待しちゃうんだよ?


不意に涙が出そうになって、慌てて気持ちも話題も別の方向に変えた。


「明日楽しみだねーっ」


「おー…

奈都どんな顔するかなー

今まで1人ずつのプレゼントだったから、『少ない!』とか言いそーだな…」


とか言いながらも、笑ってる。


樹世、奈都の話する時楽しそう。


やっぱり樹世は…


「あ、今年も來々がケーキ作るんだろ?

楽しみにしてるよっ」


「え?」


急に私の話になるから、ビックリして言葉が上手く出なかった。


毎年、ケーキは私の担当。


いちごのショートケーキ。


楽しみにしてくれてるんだっ…


「あ…うん、まかせてっ」


こういうとこ、好きだなぁ。


樹世は周りがよく見える。


ちゃんと私を気遣ってくれる。


本当に優しいんだよね…。


「ねぇ、樹世。」


私は足を止めて名前を呼んだ。


言うなら、今だと思った。


今告白しなかったら、もう言えない気がした。


ドキドキって、うるさいくらいに心臓が鳴ってる。


顔が熱い。


きっといちごよりも赤い。


「ん、どーした?

顔赤いけど、大丈夫?」


心配してくれる所も、全部好き。


「…夕日のせいだよっ」


なんて誤魔化したけど、気持ちは誤魔化さないよ。


「ねぇ、」


今度は、ちゃんと聞いてね?


「樹世…好き。」

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