「じゃー今日はここまで!」
「礼!」
「「「ありがとうございましたー!」」」
お昼でバレー部の休日練習は終わり、1年生はモップがけやボールの片付け、2年生はネットを片付ける。
「おつかれ、奈都。」
ぽんっと腰を叩かれる。
「あ、美波、おつかれ。」
ネットの支柱カバーのマジックテープをビリビリ剥がしながら、お昼は何食べようかな、なんて考えていた。
「ね、奈都!
今日私ん家でお昼食べないっ?」
「え、どうしたの急にっ」
美波が家に呼ぶことなんて珍しい。
遊びに来ることはよくあったけど、美波にはちっちゃい妹弟が結構いてうるさいからって遊びに行ったのも片手で数える程度なんだよね…
私はちっちゃい子好きだしよかったんだけど。
「実はさ、昨日なんかお父さんが抽選で当たったとかでたこ焼き器持って帰ってきて〜
今日ほんとはやる予定だったんだけど、めっちゃ晴れていい天気じゃん?
せっかくだから遊園地行こうとか言い出しちゃってさぁ、朝からみんないないワケ。
んで、材料は揃ってるし、家に誰もいないし、みんなでタコパでもどーかなぁって!」
そういえば、美波のお父さんって楽しい人だったなぁ〜…
どう?と目を輝かせて聞いてくる美波。
「いい!
やりたい!」
「よーし!
あと誰呼ぶ?」
「この中で暇な人呼んじゃえば!」
「んじゃ声掛けてくるー!」
バレー部の2年は仲良いから、よくみんなで遊びに行ったりとかする。
みんなの美波の話に対する反応を見たところ、ほとんど行くみたい。
楽しみだぁ〜っ!
「ささ、入って入って〜!」
お菓子や飲み物をスーパーで買った後、みんなで美波の家へ。
予定があるって言って来れなかった人もいたけど、10人中7人!
「なにかゲームでも持ってくればよかったかな」
「あ、2階に人生ゲームならあるけど、持ってこようか?」
「え、やりたーい!」
人生ゲーム、懐かしいなぁ…
タコ焼きと人生ゲームの同時進行。
テーブルの上でたこ焼き、床で人生ゲーム。
「ねーさっきから私休みばっかなんだけど!!」
あーぁ、ツイてないな〜
まぁ、ゲームだからいいんだけど。
“一回休み”とか“ルーレットでいくつ出るまで休み”とか、止まりまくってる私。
おかげでたこ焼き焼く係みたいになってる…
「みんな、第1弾出来上がり〜!」
お皿に盛り付けてみんなの方へ差し出す。
「うまぁ〜!」
「奈都、プロじゃん!」
「え、なんでこんなに上手く焼けんの!!」
みんなして総褒め。
照れちゃうなぁ〜っ。
実は樹世がたこ焼き作るの上手くて、負けたくなくてたくさん練習したんだよね。
確か、中一の頃。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!