霰里 昌澄side
あなたと清乃がいつまで経っても帰ってこない。
待ちきれず、心配になった俺は
二人を探しに行くことにした。
あなたと清乃が通った道を必死に探した。
生きてる。
2人は絶対に生きてる。
そう自分に言い聞かせて、
身が凍るような、寒く暗い夜の道を探し回った。
藤襲山に続く山道に差し掛かった時だった。
誰かが一人で道端に座り込んでいるのを見つけた。
暗くて誰かは分からなかった。
ザッ!!!!!!!!
俺は夢中でその人の元へ駆け寄った。
そこに居たのは、
傷だらけで震えているあなただった。
あなたの座っている所の雪は
血で紅く染まって、溶けかけていた。
あなたは俺の呼びかけに気づいたのか、
虚ろな目で俺を見上げた。
しゃがんであなたの頬に触れる
氷のように冷たい。
凍死寸前だった。
生きていて、、、
思わずあなたを抱きしめた。
すると、
あなたが震えた声で言葉を発した。
その言葉を最後にあなたは気を失ってしまった。
羽織っていた上着をあなたにまとわせ、抱えた。
清乃がいない。
そうか、、、
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。