あなたside
手鬼「お前の姉の無様な死に方をな、、、ニヤ」
こいつ、、、こうやって話している間にも
掴む力を強めてくる。
息が、苦しい。
手鬼「うーん。そうだな。」
手鬼「まずは褒めてやろう。お前の姉は
今まで喰ってきた稀血の子供の中で
五本の指に入るほど美味かったよ。ニヤ」
手鬼「かれこれ50年ここに閉じ込められているが、
あいつは特別美味かったぁ、、、ニヤ」
手鬼「だが、死に方に問題があったな。」
手鬼「あいつ、俺に喰われそうになった友を
助けて死んだんだ。」
手鬼「人間らしく
生にしがみついていればよかったものを」
手鬼「あれで少し味が落ちたな、、、」
手鬼「お前は少し黙っていろ。」
ギリギリ、、、
握る力を強めてきた。
手鬼「特に気に入らなかったのは、、、」
手鬼「あいつの死ぬ間際の顔だな。」
手鬼「俺に喰われる直前、
あいつは泣きながら笑っていた、」
手鬼「気味が悪かったよ、、、」
手鬼「救えなくてごめん、
なんて俺に言ってきたなぁ。」
手鬼「本当は無傷で喰いたかったんだが、」
手鬼「腹が立ったから全身の骨を
折って殺してやった、、、ニヤ」
清乃は刀を構え、下を向いて黙っているだけだった。
怒りで体が熱くなった。
手鬼「何が言いたいか、、、」
手鬼「稀血は大人しく鬼に喰われている方がいい。」
手鬼「どうせいつか鬼に喰われる身だ、、、
痛みなく死んだ方がいいだろう。ニヤ」
ギリッ!!!!!!
手鬼「安心しろ。お前は無傷のまま喰ってやる。」
手鬼「一滴の血も無駄にしたくないからなぁ、、、ニヤ」
手鬼「こんな稀な血を持つ人間は初めてだ。」
手鬼「稀血よりも、もっと稀、、、ジュルッ」
その時、
シャリンッ!!!!!!
ズババババババッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!
手鬼「?!」
ドチャッ!!!!!!
私を掴んでいた太い腕が切り刻まれ、
自由になった。
手鬼「この、糞餓鬼、、、」
手鬼「何を言うかと思えば、、、
そんな無駄口をほざく暇があったら
さっさと尾を巻いて逃げればいいものを。」
手鬼「姉のように友なんぞを庇って死にたいのk、」
私の前に立って刀を構える清乃の右肩には
血が滲んでいた。
next
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。