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…でも、デートなんて、そんなの出来ないはず。
だって彼は、病院の外に出られないはずだから。
でも確かに私を庇った人と水族館へ行った。
…そして私が記憶をなくしたのは
謙杜くんが亡くなった1年後。19歳の時。
だったらやっぱり、道枝くんのはずなのに。
、知りたい。
『謙杜くん。』
謙杜「?」
『私、ちょっと行ってくるね。』
謙杜「、わかった。」
そう言って私が後ろを向いた時、
謙杜「あなた。」
彼はこう言った。
謙杜「もう一度聞くけど、」
謙杜「俺から離れへんよな…っ?」
『…うん(*^^*)』
なんで私は少し間をあけてしまったのだろうか。
謙杜「そっか(*^^*)行ってらっしゃい!」
今はまだ昼過ぎ。
急げば日が暮れるまで帰れるだろう。
…私が向かう場所は、
『タッ…』
"あのカエデの木。"
…前にあの楓の木の下で夢を見た。
そこで夢を見ると今まで思い出せなかった記憶の一部が
蘇ったことがあった。【episode9参照(前のアカウント)】
その夢を見てわかったことが、
小さな男の子となにかの約束をしたこと。
謙杜くんにプロポーズされたこと。
だった。
どちらにせよ、まだわかってないことが多い。
「小さな男の子とした約束はなんなのか。」
「私と道枝くんはいつどこで出会ったのか。」
「何故道枝くんは私をこの世界に連れてきたのか。
それは幼なじみだからなのか。」
「幼なじみだということを明かさなかった理由。」
「元の世界へ戻る方法。」
私に残された時間はもう多くはない。
このブレスレットが完全に繋がる前に、一刻も早く戻らなければ二度と帰れなくなるんだ。
『、急がないと。』
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!