目黒 side
「あなた〜?」
思っていた時間より仕事が早く終わった。
家に帰ったら誰かいるとか思うと、
すごく幸せな気持ちになる。
おかえりとか言ってくれるのかな、
「…え、笑」
ドアを開ければ明るい部屋。
こんなのいつぶりだろうと思いながら
リビングに足を進めれば、
ソファの上で横になりすやすや寝ている姿が
「…あなた」
可愛らしい寝顔を見れば、
手が勝手に動き頭を撫でる俺。
こんな子が学校でヤってるって、
なんか悔しいな。
『……んっ、』
「ふっ、あなたちゃん?」
『んん、…あっ、ごめんなさい』
俺を見るとハッと体を起こしたあなた。
可愛いな、
『寝ちゃって…、』
「んーん、大丈夫。」
「それより門限とか…」
『親仕事で忙しくて、いないんです』
「…そっか、」
下を向きながら言う彼女の頬を触り、
目を見つめる。
「ねえ、今日泊まりな。」
「先生の特別授業〜」
「先生の恋人に今日はなれまーす。」
俺が言ってることはバカバカしい。
普通なら先生がこんな事したらやばいのに。
それを知ってるのに言うことを聞かない。
「限定だから楽しんで。」
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。