うちのクラスは赤いハチマキなのに…
うちの学校はハチマキを好きな人と交換する伝統がある
『生徒の皆さんは校庭に集まってください』
その後も体育祭はどんどん進んでいって、
あとは、リレーだけ…
あーあ…不安だ…
テオくんの手には赤いハチマキが…
お守り…
私たちはハチマキを交換してそれぞれのスタート位置についた
私は3走目…テオくんにバトンを渡す…
『よーい…』
バンッ
1走目の人達が走り出した
私のクラスは作戦どおり、1位で私までまわってきた
キープすればいいんだもんね
黄色のハチマキをつけた男子生徒がすごい勢いで近づいてくる
どうしよう、追いつかれちゃう
カーブに入って圧を感じながらも次の1歩を踏み込もうとした、その時だった
ドンッ
やらかした…転んだ
1位だったのにどんどん抜かされていく
どうしよう…
テオくんの声がした。
そうだ、このバトンを、テオくんに届けないと
私は走って走って…
1人だけ抜かせたけど…
ごめんねテオくん…
私はテオくんの右手にバトンを渡した
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。