第17話

思いが通じたその後~番外編~
83
2019/04/24 09:33
私は、さっき理事長室で悠真と本当の恋人同士になった。

その事が嬉しくて、さっきから私の表情は緩みっぱなしだった。


その度に一緒にいる沙絵に注意されっぱだけど



結局私は、自分のシフト時間に間に合わなくて私の代わりにやってくれた子と時間を交代して仕事をしていた。


沙絵は、まだ自分の出番じゃないからって、うちのクラスに来ていた。
倉科沙絵
も~瑠璃!
嬉しいのはわかるけど、表情に出すぎ!
そんなんじゃクラスの男子が悲しむよ?
桜ノ宮瑠璃
え?なんで男子が?
倉科沙絵
だって…………
また、まさかの自覚なし?
これだから鈍感はいやね~
桜ノ宮瑠璃
え?え?
私はわけが分からず、困惑していたら後ろから今一番会いたい人の声が聞こえてきた。
星河悠真
でも、鈍感な桜ノ宮も可愛いけどな。
あ、そうだ桜ノ宮
あとで話があるから、屋上に来て。
桜ノ宮瑠璃
分かったわ。
それだけ言うと、悠真はさっさと去っていった。


…………『桜ノ宮』か……
分かってるよ、私たちの関係がバレるかもしれないから教室では名字呼びするの…
でも、本当は家で呼んでくれるみたいに下の名前で呼んでほしいなんて恥ずかしくて言えない。


と、そんなことを考えていたら沙絵がニヤニヤしながら私のことを見ているのに気がついた。
桜ノ宮瑠璃
沙絵?
倉科沙絵
いや~ラブラブですな(笑)
からかいたくなっちゃう
桜ノ宮瑠璃
…ーッ沙絵!
桜ノ宮瑠璃
……からかわないでー
って、私が言うと沙絵はいきなりハーと、わざとらしく盛大にため息をついた。
倉科沙絵
瑠璃……
そういうことは星河にやってあげな。
桜ノ宮瑠璃
私は、沙絵の言っている意味がわからず頭上にハテナマークを浮かべていた。
倉科沙絵
ああ、瑠璃鈍感だもんね。
分かるはずなかったか。
な、なんか今、親友にとっても失礼なことを言われた気がする。

……沙絵だし、絶対にいってるな。
それからしばらくは、私が入ったことによって客足が増えたらしく、クラスメートと協力してなんとか自分のシフトの時間を乗りきった。



そして、悠真はというと…………
女性客からしつこくメアドや携帯番号を聞かれているのを何回か見ていた。
その度に、助けろって念が飛ばされてる気がするけど気にせずに、私はその光景に少しイラつき、助けるとこなく自分の仕事を完了させた。




その間、沙絵はずっとうちのクラスに居座り続けた。
倉科沙絵
は~、全くこの二人は……
なんて、あきれながら……


うん…沙絵……早く教室戻って、お願いだから
沙絵がいつまでも居たら、絶対に私達のことを冷やかすに決まってる!…なので、戻ってください


戻って~(泣)っての、沙絵に目で訴えてみたけど、華麗にスルーされ、また冷やかしが始まった。


誰か、沙絵を止めて~(泣)



倉科沙絵
それにしても、あの瑠璃がねー。
きっと、瑠璃パパ絶対に喜ぶよ!
だって、婚約者と恋人になったんだもの
桜ノ宮瑠璃
ーーっ、沙絵!
お願いだから、婚約者や恋人って、教室では言わないで!
しかもそんな大きい声でなんて、尚更…
桜ノ宮瑠璃
止めてーー
って、私が沙絵に頼んだら、また盛大にため息をつかれてしまった。
桜ノ宮瑠璃
さ、沙絵さん?
なんでさっきからため息を…?
倉科沙絵
だ、か、ら、さすが瑠璃ね!
この…万年鈍感娘が!
桜ノ宮瑠璃
そ、そこまで言わなくても、いいんじゃ…
倉科沙絵
駄目!
瑠璃みたいな子にはここまで言わないと、っと
ねえ、瑠璃
桜ノ宮瑠璃
倉科沙絵
さっき、星河から屋上に来いみたいなこと言われてなかった?
桜ノ宮瑠璃
あ、そういえば、そうだった。
倉科沙絵
瑠璃、シフトもう終わってるでしょ?
行ってきたら?
桜ノ宮瑠璃
でも、
倉科沙絵
私?
私のことは気にしなくていいのよ?
それより今は、旦那様のところ!
行った、行った
な、なんか沙絵さん。
さっき私を説教?してるときとは雰囲気が全然違う気がするのは気のせい?


まあ、悠真との約束を蔑ろにはできないから行くけど…
桜ノ宮瑠璃
分かった。行ってくるね。
倉科沙絵
いってらっしゃい
ーーー屋上ーーー
桜ノ宮瑠璃
悠真!
星河悠真
…あっこっち来て
桜ノ宮瑠璃
わ、分かった。
そうして、悠真に近寄るといきなり抱き締められた。
そして、悠真の唇がゆっくり近づいてきた。
私が何のことか分からないでいるうちに唇が重なった。
ーーー!!
な、なんでいきなり…キ、キ、キ、キス…なんて
でも…悠真との両思いのキス嫌じゃない。
これが両思いの力ってやつかしら?



なーんて、考えていると悠真の唇が離れていった。
少し名残惜しかったけど、これからは悠真と堂々とキスできると思ったら全然苦じゃなかった。
星河悠真
…ごめん、いきなり
桜ノ宮瑠璃
ううん!全然嫌じゃなかったし、というか、悠真とキスできて嬉しかったよ。
まあ、突然はビックリしたけど…
星河悠真
ごめん
桜ノ宮瑠璃
ふふっ
星河悠真
笑うなよ!
桜ノ宮瑠璃
ふふっごめん、ごめん
悠真…これからもずっと一緒にいてね。
私の未来の旦那様!



思いが通じあった日のこと、私は絶対に忘れない素敵な思い出にしよう

そう決めた、文化祭の奇跡だった。




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