私は、さっき理事長室で悠真と本当の恋人同士になった。
その事が嬉しくて、さっきから私の表情は緩みっぱなしだった。
その度に一緒にいる沙絵に注意されっぱだけど
結局私は、自分のシフト時間に間に合わなくて私の代わりにやってくれた子と時間を交代して仕事をしていた。
沙絵は、まだ自分の出番じゃないからって、うちのクラスに来ていた。
私はわけが分からず、困惑していたら後ろから今一番会いたい人の声が聞こえてきた。
それだけ言うと、悠真はさっさと去っていった。
…………『桜ノ宮』か……
分かってるよ、私たちの関係がバレるかもしれないから教室では名字呼びするの…
でも、本当は家で呼んでくれるみたいに下の名前で呼んでほしいなんて恥ずかしくて言えない。
と、そんなことを考えていたら沙絵がニヤニヤしながら私のことを見ているのに気がついた。
って、私が言うと沙絵はいきなりハーと、わざとらしく盛大にため息をついた。
私は、沙絵の言っている意味がわからず頭上にハテナマークを浮かべていた。
な、なんか今、親友にとっても失礼なことを言われた気がする。
……沙絵だし、絶対にいってるな。
それからしばらくは、私が入ったことによって客足が増えたらしく、クラスメートと協力してなんとか自分のシフトの時間を乗りきった。
そして、悠真はというと…………
女性客からしつこくメアドや携帯番号を聞かれているのを何回か見ていた。
その度に、助けろって念が飛ばされてる気がするけど気にせずに、私はその光景に少しイラつき、助けるとこなく自分の仕事を完了させた。
その間、沙絵はずっとうちのクラスに居座り続けた。
なんて、あきれながら……
うん…沙絵……早く教室戻って、お願いだから
沙絵がいつまでも居たら、絶対に私達のことを冷やかすに決まってる!…なので、戻ってください
戻って~(泣)っての、沙絵に目で訴えてみたけど、華麗にスルーされ、また冷やかしが始まった。
誰か、沙絵を止めて~(泣)
って、私が沙絵に頼んだら、また盛大にため息をつかれてしまった。
な、なんか沙絵さん。
さっき私を説教?してるときとは雰囲気が全然違う気がするのは気のせい?
まあ、悠真との約束を蔑ろにはできないから行くけど…
ーーー屋上ーーー
そうして、悠真に近寄るといきなり抱き締められた。
そして、悠真の唇がゆっくり近づいてきた。
私が何のことか分からないでいるうちに唇が重なった。
ーーー!!
な、なんでいきなり…キ、キ、キ、キス…なんて
でも…悠真との両思いのキス嫌じゃない。
これが両思いの力ってやつかしら?
なーんて、考えていると悠真の唇が離れていった。
少し名残惜しかったけど、これからは悠真と堂々とキスできると思ったら全然苦じゃなかった。
悠真…これからもずっと一緒にいてね。
私の未来の旦那様!
思いが通じあった日のこと、私は絶対に忘れない素敵な思い出にしよう
そう決めた、文化祭の奇跡だった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。