悠真の爆弾発言の後、私は悠真に言葉の意味を一応確認した。
私は、悠真に対する気持ちの答えを確かめたくて、ついつい悠真と一緒のベッドで寝ることに了承してしまった。
そして、言った後で気がつくという……なんという、馬鹿げたやつなんだろう。私って本当に後先考えずに行動しちゃうよな。こういうところには、自覚はあるけど自分が鈍感かどうかなんて分からないしー。
まあ、いいや。
…………あれ?そういえば、ベッドって私と悠真、どっちのを使うの?どちらもシングルベッドだけど…
と、そこまで言って気づいた。
私がここに越してきてから一度も入ったことがない部屋があった。
もしかしてそこに………ダ、ダブルベッドがある?
『あの部屋』とは、悠真が一番最初に絶対にこの部屋には入るな!と、勢いよく言ってきた部屋。
そっか……あの部屋か
初めて入れるかもしれないんだからこのチャンスは逃せないわ。
でも、どうして悠真は提案者なのに浮かない顔をしているのかしら?
珍しい。
あの、いつも上から目線的な悠真が口ごもってる。
え?なに?
あの悠真をこんな顔にする部屋って一体……
自分の目で確かめてみて、なんかアレだったら
お父様に文句を言おう。
どうせ、用意したのお父様と悠真のお父さんだと思うし。
「例の部屋の前」
そう言って、悠真が扉を開けた。
そして、部屋を見た私は……
言葉を失った。
と、確かめてしまった。
悠真は『あくまでも俺はやってないから。責任は親父たちにどうぞ。』
と、お父様たちに責任転換をした。
いや、でも悠真だって私がここに来る前に一回ここに下見しに来てるんだからどうにかできたんじゃないの。
まあ、悠真にここまで言わせるこの部屋もすごいけど。
私は、部屋についつい感心してしまった。
そしてその問題の部屋の内装が……
部屋の真ん中に物語のお姫様が寝ているようなベッドがおかれており、天井のライトもシャンデリアみたいなものだった。
そう言って悠真は私に初めて笑顔を見せてくれた。
……悠真の笑顔って優しいんだ。
もっと、見ていたないな。という私の淡い期待は悠真がいつもの表情に戻ると同時に消え去った。
―――数十分後―――
つ、ついにこの時が来てしまった……。
あー、どうしよう……
簡単にいいよなんて言うんじゃなかった。数十分前の私のバカ!
ヤバい、どんどん緊張してきた。
心なしか、心臓も脈打つのが速くなってるし。
えーい!
女は度胸!当たって砕ければいいのよ!
…………なんて、考えてもこの状況がどうにかなるわけでもない。
すると……
いつのまにかお風呂から出てきた悠真が後ろから声をかけてきた。
た、ため息ってなんで…?
別に立ってただけでため息なんてつかなくてもいいじゃん。
え……悠真、私が緊張してるの分かったんだ……
やっぱり、私のことなんでも分かるんだな。
私は、そんな小さなことが凄く嬉しかった。
…………途中まで分かってることから逃げるのはもうやめよう。そもそも私のキャラじゃないし。
もう認めよう。
私は悠真のことが好き……
先輩のことが好きだと思っていたけど、本当は好きじゃなかったってことにも気づいた。
悠真の言葉ひとつで私の心臓は凄くドキドキしてる。
でも、先輩はそうじゃなかった。
私は、気づかなかっただけでこんなにも悠真のことが大好きになっていたんだ。
でも、なおさらどうしよう……
悠真のことが好きって気づいて、一緒になんて寝たら私の心臓もつかしら?というか、今日寝れるかしら?
なんて、一人で考えていたら悠真が心配したように
なんて、声をかけてきた。
私は、それだけでもう嬉しくてさっきから速い心臓がさらに脈打つのが速くなってしまった。
ヤバいな~
私、本気で悠真のことが好きなんだ……
なんか、沙絵が私のことを鈍感って言った理由が分かった気がする。
あ……確かにさっきはあんなにも緊張して心臓だってバクバクだったのに今は落ち着いてきてる。
もしかして、私の緊張をほぐすためにわざとやったのかな?
って私が急にお礼を言ったからか悠真は一瞬びっくりしてたけどすぐいつもの顔に戻った。
と言うと、悠真はさっさと部屋の中に入っていった。
私も悠真の後を追いかけてベッドに行くと……
って聞いてきた。
このベッド、割りと大きいのでベッドの端と端で寝ればお互いの体には絶対に触れないので安心した。
なので、別にどっち側でも良かったけれど適当に私から見て左端を選んだ。
なんて、ベッドに入って早々に悠真が言ったかと思ったら、すぐに寝息が聞こえてきた。
悠真って意外とすぐ寝ちゃうんだな。
でも、少し悲しいかも。だって、すぐ寝るってことは私といても意識してないってことでしょ?
私は、悠真が隣にいるってだけで、こんなにもドキドキしてるのに!
まあ、悠真だし。分かってたことだからいいけどね。
………………私今日、寝れるかな?
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。