目の前に星河悠真。
どんなに、見ても星河悠真
あの、星河悠真。
私は、つい驚いていたので、相手の家族がいることも忘れて……
叫んでしまった…。
うわっ!
こいつ、急に始めやがった。
今の流れから始めるか?
普通…やっぱりこいつ嫌いだわ!
星河悠真は、文武両道で顔も良い。
いつも、笑顔を絶やさない。学校では「キラキラ王子」なんて呼ばれてる。
だけど、私は、その笑顔が作り笑いにしか見えなくて他の女子達みたいにキャーなんて言えない。
それに、星河悠真とは、中等部の頃からテスト成績で一位を取り合っていた、ライバルでもあったから、この婚約がなしになってほしいと、内心望んでいた。
そんな希望も虚しく、とんとん拍子に話は進んでいく。と、言っても親同士で話しているだけで、当人達は、黙ったままだけど。
と、ついつい言ってしまった。
私はまだ、実感が沸かなくて…
はい!嫌ですなんてこの空気のなかじゃ言えない
あーあ、これで完璧に私の人生は終わった。
しかも、この後、私に追い討ちをかける一言が星河悠真のお父さんから出た。
………………今なんて言った、こいつ
『分かった』って言ったわよね?なに普通に了承してるのよ。私は嫌なのに、こんなやつと一緒に住むとかあり得ない。
はい!とっても嫌ですとは言えない。
何この答えが決まってる会話。
私のこの問いには、星河悠真のお父さんが答えた。
うん、だからなんで最初から答えが決まっている会話なわけ?
というか、さっきから思っていたけど、星河悠真のお父さんってなんか逆らえない雰囲気があるのよね。
―――高層マンション・瑠璃&悠真の新居―――
はー、ついに始まっちゃったよ。
星河悠真との、同棲。
数時間前、ここについて一番最初にやったことは、一緒に住むにあったってのルール決めだった。
そのルールが
一、お互いのことは名前で呼ぶ。
二、学校では、婚約のことは秘密にする。
三、家事は分担してやる。
四、寝室は一緒だが、やましいことはなにもしな
い。
五、食事は一緒にとる。
六、学校には、時間をずらして登校する。
だった。
意外にも、星河悠真は家事全般ができ本当にお坊っちゃんなの?と疑ってしまった。
でも、私も一応家事はできるからということで料理は、学校がある日は先に帰ってきた方がやるということになった。
はー。
ため息も何度目なんだろう。愛想笑いって本当に疲れる。
自分でいうのもあれだけど、私も一応顔は良いし、勉強も出来るからと、男子や女子から人気だ。
そんなこともあり、愛想笑いには自信があったけどどうしても、いつも愛想笑いをしていると悠真には、抜かれてしまう。
今からこんなんで平気なのかな?
私、将来絶対ヤバそう。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。